また札幌市では、国際交流をすすめる方法としてコンベンションを推進した。札幌をさまざまな国際交流の会場として誘致、利用し、そして人、物、情報が行き交うことで、札幌が地域経済の活性化や新しい文化などのふ化場として機能することを期待した。そのため、札幌の地域性を生かした雪まつりや冬のスポーツ大会、北方圏を対象とした北方都市会議や姉妹都市間のスポーツ大会などを開催し、さらに北方圏の拠点都市として国際見本市や札幌オリンピックなど国際的大イベントを誘致した(概要 昭63)。
市民と外国人の交流事業や国際的なイベント、国内外で開催されるコンベンションの誘致・支援などの事業を行うため、昭和六十二年(一九八七)六月札幌国際交流プラザを開設した。このプラザでは、国際交流推進機能、コンベンションビューロー、市民協力の窓口の三機能を連携、複合させて事業展開させることにした(概要 昭63)。国際コンベンションとしては、平成十一年(一九九九)に中央アジア非核兵器地帯国連札幌会議や第二一回APEC人材養成ワーキンググループ会合の運営、各種国際会議への支援などを行った。在札外国人のための生活情報、市民と外国人との交流促進のための各種行事の実施、海外情報の提供、留学生対応などの事業も行っている。平成三年八月には財団法人札幌国際プラザとなった(概要 平12)。
写真-13 平成16年7月に開催された第2回国連軍縮札幌会議
札幌市では、国際交流を目的として札幌を訪れる外国人を一般家庭に受け入れ、家族ぐるみの交流を行って相互理解を深めるホームステイ制を昭和四十三年(一九六八)から導入した。創設以来平成十四年(二〇〇二)三月末までに一二五カ国と六地域から五三八六人を受け入れ、十四年度末で二九八家族が登録している。札幌ホームステイ協会を組織し、札幌圏ホームステイ交流協会により他団体との連携を図っている。昭和五十二年からは、外国語のボランティア制を実施し、平成十四年七月には、英語、ドイツ語、ロシア語、中国語など二二カ国語一二八八人が登録している。これらの国際交流のボランティア活動は、昭和六十二年からは国際交流プラザで運営を行うようになった(概要 平15)。
さらに、札幌の状況や情報をより広く伝え、交流を深め広げるために、札幌市では、海外広報紙と、昭和六十一年度からは、年二回札幌の市政、芸術、文化、教育、生活一般などの特集記事を載せた情報紙を発行し、姉妹都市、北方都市をはじめ海外の大学、研究機関、世界の主要なコンベンション施設などに送付している。四十五年からは英語版、六十二年からは中国語版、平成六年からはロシア語版の市政概要を、おおむね三年ごとに発行している(国際交流 平10)。
平成二年七月、国内外から来札する研究者などに快適な調査研究、宿泊環境を提供するため、札幌天神山国際ハウスを開設した。十三年度末までに延べ約三万二〇〇〇人に宿泊利用されている。八年四月には、札幌国際交流館をJICA北海道国際センターに隣接して開館した。体育室やプールなどを設備し、JICAの研修員と市民のふれあいの場となっている。十二年四月には、札幌市内や近郊の大学や専修学校に通う留学生の宿泊施設、市民との交流施設として、札幌留学生交流センターを開設した。十四年十二月一日現在二九カ国・地域の一〇三人が滞在している。センターの交流ラウンジ、軽スポーツ室、会議室などは地域住民との交流の場として利用されている(概要 平15)。