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農業基盤整備

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 農業基盤整備を進めるための事業としては、土地生産性を高めるための土地基盤整備事業と、労働生産性を高めるための近代化施設整備事業があるが、経営規模が小さい本市の農業については、いずれにしろ大規模な基盤整備事業はほとんど実施されたことがなく、それだけに札幌市独自の取り組みが大事になった。
 〔土地基盤整備事業〕 表39は、国費補助事業および道費補助事業による土地基盤整備事業の概要を示したものである。一見すれば、このタイプの事業が以前の時期に比べて盛んに実施されたという印象を持つかも知れない。実施された事業数が増えていることは間違いないとしても、これら事業の規模は決して大きなものではなく、そのことは事業費をみると明らかである。
表-39 土地基盤整備事業(国費補助事業および道費補助事業)の概要
事業名区分事業年度
手稲山口地区水田転換事業国費補助昭50~51
茨戸明星地区農道整備事業昭51~53
栄町地区土地改良総合整備事業昭52~54
有明地区    〃昭54~56
滝野地区農地開発事業昭54~57
篠路地区土地改良総合整備事業昭56
篠路拓北地区小規模用地整備事業道費補助昭58
篠路福移地区    〃昭59~61
豊畑地区土地改良総合整備事業間接補助昭60~平5
小別沢地区小規模農用地整備事業道費補助昭62~平1
滝野地区農業用施設災害復旧事業間接補助平2
藤野地区小規模農用地整備事業道費補助平2
滝野地区    〃平3
簾舞地区農業用施設災害復旧事業間接補助平3
『事務概況』各年、『札幌市の農業』各年による。区分のうち、間接補助とは、国費間接補助をともなう道費補助事業である。

 また、表40は市費単独補助事業による土地基盤整備事業の概要を示したものである。土地基盤整備事業を推進して生産性の向上に寄与すべく、国や道の補助対象となり得ない小規模な事業でありながら、なおかつ公共性の高い農道、農道橋、用排水路などのかんがい施設、暗渠排水、耕地整備などの事業が絶えず実施されてきたことがわかる。
表-40 土地基盤整備事業(市費単独補助事業)の概要
暗渠排水ほ場整備耕地整備客土農地造成用排水路整備明渠排水農道整備農道橋整備特設水道整備災害復旧
昭49
 50
 51
 52
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 58
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平 1
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  6
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  9
『事務概況』各年、『札幌市の農業』各年による。

 〔近代化施設整備事業〕 野菜や花きなどの園芸農業、しかも比較的経営規模の小さなそれが、この時期における本市の農業の中で大きな比重をもっていたから、近代化施設整備事業の重要性は大きかったといえる。国費補助事業や道費補助事業も多数実施されてはいるが、やはり市費単独補助事業が中心であり、とくに農業団地育成対策事業、集落農業施設整備事業、地域農業活性化事業、地域農業基盤整備事業は名称こそ異にしているけれども、一連のものとしてみるべきである。各農協や部会・支部、各種の生産組合、営農機械利用組合などを事業主体とするこれらの事業を通じて、営農団地の設定と主産地化を図るべく、多種類の機械が導入され、多様な施設が設置された。そして、これらの事業が主として野菜生産の振興策であったのに対して、さっぽろの花産地づくり事業は花き生産の、酪農団地造成事業は酪農の振興策であった。(表41を参照)。
表-41 近代化施設整備事業
事業名区分事業年度
米生産調整対策推進事業※国費補助昭45
稲作転換対策特別事業※昭46~50
高能率集団産地育成事業昭48~50
露地野菜生産モデル団地設置事業昭49~50
農業団地育成対策事業市費単独昭49~58
野菜指定産地整備事業国費補助昭52
水田総合利用対策事業※昭51~52
転作促進対策特別事業※昭53~58
転作経営安定特別事業※道費補助昭53~58
水田利用再編対策推進事業※国費補助昭56~61
野菜集団産地育成事業昭58~59
集落農業施設整備事業市費単独昭59~62
酪農団地造成事業国費補助昭60~平2
水田農業確立対策推進事業※昭62~平4
地域農業活性化事業市費単独昭63~平8
さっぽろの花産地づくり事業昭63~平6
新農業構造改善事業国費補助平2~9
地域農業基盤整備事業市費単独平9~
『事務概況』各年、『札幌市の農業』各年による。
※は水田転換対策に関わる事業である。