札幌におけるファストフードの上陸は昭和四十年代にさかのぼり、昭和四十六年十二月には伊藤組が経営する「ケンタッキーフライドチキン」が真駒内に、四十九年十一月には国道三六号ぞいの豊平区月寒中央通九丁目に「ミスタードーナツ」が出店した。また五十三年三月には「マクドナルド」が進出を果たした。これらはその後順調に店舗を拡大したが、これに対して減少の一途を辿っていったのが喫茶店であった。五十四年ごろにはインベーダーゲームの流行もあって客足が上向いたが、その後電気料金や諸物価、人件費の値上げ、本格コーヒーの家庭への普及、他の外食産業によるコーヒーサービス、さらに札幌都心部では企業が週休二日制を取り入れたことから、土、日の収入が激減し高いテナント料が払えずに店を閉める喫茶店が相次いだ。平成二年には二月末までに二〇軒に及ぶ喫茶店がいわゆる「週休二日倒産」をした(道新 平2・2・28)。
その後喫茶店は地下鉄沿線を中心に営業をつづける一方、可否茶館や宮越屋珈琲のように家庭では味わえない雰囲気やコーヒーの味をサービスしたり、マンガの蔵書を売り物にする店などが登場した(道新 平9・12・11)。しかし、平成二年に南三条西二丁目に出店した「ドトールコーヒー」や十三年四月に札幌に進出した「スターバックスコーヒー」などセルフサービス、低価格を売り物とする喫茶店の台頭もみられる。
一方、ファストフードは平成にかけて多様化が進んだ。四年十二月には昭和五十五年に一度倒産し北海道から撤退した牛丼専門の吉野家が札幌に再進出を果たし、南区南三六条西一一丁目と東区北一六条東一七丁目に店舗を設けた(道新 平4・9・23)。またカレー専門店「壱番屋」(平成二年白石区出店)、うどん・牛丼の「なか卯」(平成十一年北区出店)、「めしのはんだや」(平成十一年出店)などの進出もみられ、若年層のみならず中年層の顧客化が進んだ。