市内の観光名所は時計台、北海道大学附属植物園、テレビ塔、羊ヶ丘展望台、藻岩山観光自動車道等に、新たに冬季オリンピック施設(大倉山ジャンプ競技場、真駒内屋外スケート競技場、真駒内屋内競技場)を加え、さらにはサッポロビール札幌工場、雪印乳業史料館、北海道コカ・コーラボトリング、北欧館(パン製造・平1)・石屋製菓(平3)など、食品メーカーを中心とする体験型観光が人気を集めるようになった。
昭和五十年以降は余暇時間の増大にともなって、全国でリゾート開発が急速に進められるが、北海道にとってリゾートブームは大規模スキー場の建設など、冬季の観光資源を活用して観光の通年化を図る絶好の機会でもあった。オリンピックによって雪まつりに訪れる観光客やスキーツァー客も増加し、北海道観光の弱点とされた冬季における観光客の落ち込みは改善されつつあったものの、依然として「通年観光」は北海道全体の観光振興策の重要課題だったのである。
札幌に本社をもつ加森観光(昭56設立)は後志管内の留寿都村にスキー、ゴルフ、遊園地等を組み合わせたルスツリゾートを開発したほか、六十二年八月にはレンタカー事業等にも参入した。また北海道振興はサロマ湖畔等のリゾート開発に乗り出し(道新・昭62・12・20)、平成四年十二月にはソフィア中村チェーンが北区茨戸に温水プールをはじめとするレジャー施設札幌テルメと、テルメインターナショナルホテルを併設した「都市型リゾート」を建設した。
しかしバブル経済の崩壊によってリゾート経営は不振に陥ったことから、北海道振興はリゾートホテルの一部閉鎖を余儀なくされ(道新 平8・2・23)、札幌テルメも破産に追い込まれた(道新 平10・3・11)。
一方、加森観光は景気後退のなかでも業績を伸ばし続けた。九年四月に十勝管内のサホロリゾートと事業提携を結んだのをはじめとして(道新 平9・3・13)、韓国の旅行企画販売会社多楽レジャーセンターと業務提携し、同センターを加森観光ソウル事務所として機能させたほか(道新 平9・4・23)、同年八月にはアルファリゾートトマムの約六割の施設を受託し、同社はトマム、ルスツ、サホロの道内三大リゾートに関わることになった(道新 平9・8・30)。