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パチンコホールの大規模化

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 昭和四十年代、所得の向上はレジャーの大衆化をもたらし、週休二日制の導入と長期休暇の普及はレジャーの多様化を推し進めた。ボウリング、ゲーム、カラオケ、ディスコ等さまざまな娯楽が増えるなかで、大衆娯楽の代表であるパチンコは根強い人気を集めていた。
 五十年代なかば以降パチスロ(回胴式遊技機)の登場によってパチンコ人気は一層高まり、プリペイドカード(料金前払い)の導入は売り上げ増加に拍車をかけた。カードの導入は、業者にとっては現金の管理が楽になる・固定客が増える・防犯にも役立つ等の利点があり、また利用客からは両替の手間が省けて計画的な楽しみ方ができると好評を得た(道新 平3・10・30夕)。札幌市では平成三年十一月に太陽グループ(昭63(有)東原として設立)のサンドリームが東北以北で初めてプリペイドカードを導入している。
 さらにはCR機(カードリーダー機)が業界を激変させた。CR機とは四年頃から登場した、特定の数字や図柄が揃えばビッグチャンスが続く確率変動機能を備えた新型機で、強いギャンブル性と射幸性を特徴としている。このCR機ブームのなか、業界は軍艦マーチと派手なネオンサインを一掃して、豪華なホールと内装で女性客など新しいファン層をも獲得し(道新 平8・1・25)、巨大産業へと成長していく。六年のサービス業基本調査結果では、パチンコ店の事業収入は三〇兆円と五年前に比べて倍増、サービス業全体の約四分の一を占めるに至った(道新 平8・1・26)。
 しかしCR機ブームはカードの変造や大勝した快感が病みつきになって大金をつぎ込む「依存症」などの社会問題を生み、規制強化の下で射幸性を弱めた結果、客離れを引き起こした。また一方ではブームをあてこんだ新規オープンが相次ぎ、パチンコ店の競争は激化した。八年に閉店に追い込まれたパチンコ店は一〇ホール以上、十一月には業界大手のジーアンドイープランニングと子会社のアゴラ・コーポレーションがパチンコ店としては最大規模の負債額一六〇億円で倒産した(道新 平8・11・26)。その後もパチンコ店の休廃業は止まらず(表29)、業界は大衆娯楽という原点に立ち戻るべく転換期を迎えている(道新 平12・8・30)。
 表-29 おもな娯楽業の事業所数・従業者数
昭56昭59平3平8平13
事業所従業者事業所従業者事業所従業者事業所従業者事業所従業者
映画館2839320251312482321519137
遊戯場5222,4035183,2305384,5954676,1104066,028
 マージャンクラブ264693223624180512129368
 パチンコホール1262,1921483,1331794,4861644,478
 その他の遊戯場1283451678381081,1121131,182
その他の娯楽業33214377481242,4422553,5732794,090
『札幌市統計書』より作成。
「その他の遊戯場」とはビリヤード場、碁会所、将棋集会所、ゲームセンター等。
「その他の娯楽業」とはダンス教室、ダンスホール、場外馬券車券の取次販売、カラオケボックス業等。