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公衆浴場業の減少

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 そのひとつが公衆浴場業であるが、昭和三十年代後半から自家風呂の普及によって公衆浴場業は停滞・縮小に向かった。さらに人口が郊外へと流出するのにともない都心部の銭湯の廃業が相次ぎ、四十九年に二六一軒あった市内の銭湯は五十九年(一九八四)には二四二軒(道新 昭59・11・23)、平成二年には一九〇軒にまで落ち込んだ(道新 平2・10・1夕)。
 こうしたなかで公衆浴場はロビーを広くしたり、サウナやラドン温泉といった多目的の浴室を設けるなど、設備の充実を進めて巻き返しを図るが(道新 昭60・8・2)、昭和六十年以降に次々と新設された大型サウナ、露天風呂、休憩ロビー等と広い駐車場を備えたレジャー型浴場や札幌近郊の公営温泉に客を奪われ、公衆浴場はその後も減少を続けた(表30)。
表-30 おもな生活関連サービス業の事業所数
昭56昭61平3平8平13
各種物品賃貸業1427445441
その他の物品賃貸業81181250227224
公衆浴場業263239183163138
特殊浴場業7680655953
駐車場業229258267286308
『札幌市統計書』より作成。
「各種物品賃貸業」とは総合リース業、各種物品レンタル業。
「その他の物品賃貸業」とは映画用諸道具賃貸業、レンタルブティック、レンタルビデオ、貸本屋等。
「特殊浴場業」とは薬治・美容など特殊な効果を目的として公衆を入浴させる事業所であり、温泉浴場業、サウナ風呂業、ソープランド業等をさす。

 平成七年七月札幌市は市内の銭湯を利用したデイサービス(通所介護)「ゆにーくサービス21」事業を開始した(札幌市の高齢者保健福祉概要 平成八年度版)。この事業は、銭湯の近くに住み自分で通える六五歳以上のお年寄りを対象に、月に二回入浴のほかに食事やゲームなどのレクリエーションを楽しんでもらうという内容であるが、施設の建設にかかる経費の節減を図りたい札幌市と、利用者の拡大につなげたい銭湯側の思いが一致して実現したものである(道新 平7・4・21)。
 このように公衆浴場は地域の高齢者福祉にも貢献しながら、さらには薬湯をはじめとするさまざまな天然素材を提供する「ふれあい入浴デー」を設けたり、子どもの絵画コンクールを開くなどして、地域住民の社交場となるべく工夫を重ねている(道新 平10・1・20)。