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札幌市ベンチャーランド構想

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 札幌市に初めて情報関連サービス企業が設立されたのは昭和三十八年であった。四十八年には一二社、五十六年には二三社を数えたが、業務内容は企業の基本事務に関する計算が最も多く、プログラム作成やシステム設計等を行う企業はわずかであった(道新 昭48・4・13、58・9・21夕)。
 五十六年に拓銀が行った調査でも、情報処理産業全体の売上高に占める本道の純ソフトウェア(コンピュータの利用技術であるソフトウェア開発、システムの管理運営受託)の比率は一七・六パーセントと全国(三七・二パーセント)の半分以下で、事務処理サービスが五七・七パーセントと相変わらず高い比率を示していた(道新 昭58・9・21夕)。
 ところが企業のOA(オフィスオートメーション)化の進展にともない、五十七年頃から札幌市およびその周辺を中心に、ソフトウェアを開発する業者が続々と誕生する(道新 昭60・2・1)(表33)。五十七年には北海道ソフトウェア協会が発足し、五十九年四月二十五日加盟企業の共同受注への道を開くことを目的に、同協会が母体となって、北海道ソフトウェア事業協会組合を設立した(道新 昭59・5・18)。同組合は共同開発機材として汎用コンピュータを設置するための機材購入資金の一部補助を札幌市に要請した。
表-33 情報サービス業の年次別状況
事業所数従業者数年間売上げ高
(百万円)
総数単独事業所本社支社
昭601063,91930,776
 61984,10235,171
 621565,50941,265
 631606,09663,817
平 11498417486,47884,343
  21557625547,199111,224
  31426631457,387130,633
  41456534467,978135,259
  51245822446,592113,216
  61154530406,526104,420
  71144428426,576112,119
  81335626516,41286,297
  91285821496,97290,230
 1020297406510,338149,420
 1118991326610,267152,499
 1219790466110,039173,310
『札幌市統計書』より作成。

 おりしも札幌市では、第三次産業に極端に傾斜している産業構造を改革すべく、新たな産業集積や育成施策を模索しており、学識経験者からは先端技術の集積や新製品開発への取り組みが提唱されていた。市工業課は同組合等との数回にわたる懇談会を経て、組合からの要請を、長期的な視野に基づいた産業振興策へと発展させていく。これが札幌市ベンチャーランド構想の発端であった(川井洋一 札幌テクノパーク〝その成功と背景〟)。