学校主任制反対闘争では、交渉を打ち切った道教委に抗議する組合員を警官隊が排除したことから、北教組が五月十九日全日ストを強行したのに対し、道警が六月、全道の組合事務所などを一斉に捜索し、札幌では苗穂小学校(分会)にも家宅捜索が入った(道新 昭51・6・5夕)。人件費抑制に反対する札幌市労連も同年六月十四日、一四年振りに午前半日「お祭りスト」を強行し、札幌市は、スト権スト以降の数を上回る二七四人に処分を通告した(道新 昭51・8・2)。北教組は、同年十一月にも主任制反対半日ストを実施するなど、五十一年道内の争議件数六五一件のうち国公営組合が三八二件を占め、参加人員では民間組合の一〇倍以上に達した(表12)。
表-12 道内民間・官公営別争議発生件数及び参加人員の推移(昭和50~62年) |
種別 年次 | 発生件数 | 争議参加人員 総数 | 民間 | 官公営 | ||
件数 | 参加人員 | 件数 | 参加人員 | |||
昭50 | 582 | 584,451 | 345 | 84,942 | 237 | 499,527 |
51 | 651 | 725,350 | 269 | 63,412 | 382 | 661,938 |
52 | 547 | 673,027 | 277 | 77,086 | 272 | 595,941 |
53 | 454 | 675,707 | 211 | 83,548 | 243 | 592,159 |
54 | 273 | 371,000 | 133 | 48,927 | 140 | 322,073 |
55 | 448 | 553,674 | 198 | 51,379 | 250 | 502,295 |
56 | 919 | 1,040,008 | 225 | 64,905 | 694 | 975,103 |
57 | 782 | 785,641 | 192 | 58,025 | 590 | 727,616 |
58 | 694 | 626,685 | 141 | 45,888 | 553 | 580,797 |
59 | 566 | 406,741 | 122 | 24,385 | 444 | 382,356 |
60 | 593 | 649,180 | 139 | 57,534 | 454 | 591,646 |
61 | 258 | 198,436 | 134 | 42,284 | 124 | 156,154 |
62 | 135 | 196,139 | 104 | 33,439 | 31 | 162,700 |
『資料北海道労働運動史』より作成。<官公営>には、産業別分類による<公務等>のほか、<運輸・通信業><サービス業>等のうち労働組合法適用以外の交通・通信・水道・教育・清掃・医療などを含む。 |
五十二年以降、官公労組合員に対する行政処分が数次にわたり行われたが、五十三年にも北教組が二度の半日ストを行うなど、道内の半日以上のストライキ参加人員が一〇万人を超えた。同年の争議発生数四五四件のうち「その他」(政治スト及び同情スト)が「賃金及び手当」を大きく上回り、札幌市を含む石狩管内でも、五十三年の争議件数九五件のうち国公営組合が五〇件、「政治スト及び同情スト」四九件、半日以上のスト三七件(参加人員二万一八六〇人)などとなっている(商工労働概況)。その後も、道の人件費削減反対や学校主任制反対に加えて、五十五年には道庁の大幅な機構改革や国鉄の赤字路線廃止問題が浮上し、また公務員二法(六〇歳定年制・退職手当減額)反対闘争(昭55~56年)などの政治ストも組織された。しかし、世論の反発やたび重なる行政処分などの影響を受け、官公労争議では、次第に半日未満の時限ストや、賃金カットの対象とならない職場集会などが大勢を占めるようになった。