同センターの目的は「婦人の生活文化の向上と婦人活動の推進を図り、もって婦人の福祉増進を図ること」とされ、新しい設備としてボランティア・ビューロー、幼児室、情報資料室が設けられた。特に力を入れたのは情報資料室で、「ベストセラーから専門書、行政資料、新聞の切り抜き」も集めていることを広報誌『せんのき』で宣伝した。利用状況を表35に示すが旧館に比べほぼ倍増した。
表-35 婦人文化センター(女性センター)利用状況 |
1 情報資料室利用状況 |
年度 | 貸出冊数 | 閲覧者数 | 蔵書冊数 |
昭59 | 29,746 | 14,668 | 11,864 |
60 | 32,453 | 15,573 | 13,303 |
61 | 28,760 | 13,410 | 14,879 |
62 | 27,933 | 13,433 | 16,754 |
63 | 26,563 | 11,840 | 18,256 |
『青少年婦人対策の概要』昭和60~平成1年度版より作成。 平成元年より蔵書は社会福祉総合センター情報センター資料室に統合管理された。 |
2 センター利用総数 |
年度 | 件数 | 人数 | 内女性 |
昭59 | 7,580 | 206,052 | 177,195 |
60 | 7,718 | 208,810 | 184,274 |
61 | 7,903 | 223,250 | 197,739 |
62 | 7,869 | 200,030 | 176,042 |
63 | 7,972 | 184,533 | 162,976 |
平 1 | 8,800 | 196,428 | 167,626 |
2 | 10,629 | 215,413 | 184,469 |
3 | 11,796 | 234,665 | 201,262 |
4 | 11,671 | 208,910 | 180,442 |
5 | 12,438 | 202,791 | 176,682 |
平 6 | 12,329 | 196,657 | ― |
7 | 12,309 | 198,056 | 170,734 |
8 | 12,396 | 196,832 | 172,786 |
9 | 12,538 | 182,543 | 162,086 |
10 | 12,321 | 181,074 | 159,184 |
11 | 12,540 | 179,625 | 157,225 |
12 | 13,009 | 200,211 | 170,124 |
13 | 13,362 | 189,390 | 165,700 |
14 | 13,681 | 196,824 | 171,904 |
『「札幌市女性計画」事業概要・推進結果』、『札幌市の男女共同参画施策の推進状況』による。 ただし件数については、昭和60~平成1年は『青少年婦人対策の概要』、平成2~5年は『青少年婦人(女性)施策の概要』による。 |
同センターは、従来婦人会館で催した長期にわたる文化教室などを廃止して、単発の主催事業や貸館でより多くの市民の利用をめざした。内容は婦人通信講座、女性学講座、料理講座、講演会、スポーツ講座、母と子のあそびの学校、婦人団体リーダー研修、小音楽会、文化祭(のちフェスティバル)、婦人相談などである。
このうち婦人相談については、従来からの身上相談の他に五十七年から、市内の女性弁護士七人全員で無料の法律相談を週一回担当することにした。幼児室の利用については「乳幼児を抱えていても学びたい」という主婦達四団体(たんぽぽ、あごら昼の会、マミーズイングリッシュなど)が話し合いを呼びかけ、託児を考える連絡会を結成した(昭57)。センターを拠点に活動する団体の作品として、札幌女性史研究会の『北の女性史』(昭61)、生活史研究会茜会の『北海道子ども歳時記』(平2)なども生まれた(せんのき、青少年婦人対策の概要)。
平成元年(一九八九)、隣接して市社会福祉総合センターが新築されたのを機に婦人文化センターの拡充・改修があり、この後センターの主催事業には再就職準備講座(平2)、男性講座、子育て講座、日本語講座(平5)などが登場し、ワープロ講座は人気を集めた。編集ボランティア養成講座修了者による「クリップ・クリップ(新聞の女性関係記事の切り抜き壁新聞)」のロビー展示、センター主催事業の広報紙『フィー・メールFe-male』の発行も始まった(平12)。
平成四年四月から名称が女性センターと変わった。八年から第二女性センター建設も検討されたが、財政難等から見送られ十五年九月、JR札幌駅北口に近い北八条西三丁目に、男女共同参画センターと改称移転した。