ビューア該当ページ

セクシュアル・ハラスメント対策

582 ~ 583 / 1053ページ
 女性が職場で性的嫌がらせを受ける「セクシュアル・ハラスメント」(セクハラと略す)が表面化してきたのは、平成元年頃からであろうか。その年の十月一日、第二東京弁護士会が「一日電話相談」を開設したところ、全国各地から一三三件にのぼる相談が寄せられた。道内でもセクハラについての相談件数をはじめて集計したところ、札幌法務局に六件寄せられていることが分かった。内容は、性的関係を迫られたり、同僚教師と不倫のうわさを立てられたり、体形口実に「辞めたらどうか」の嫌がらせを受けたというものであった(道新 平1・11・13夕)。これを受けて立ち上がったのが、性差別反対運動に取り組む道内の女性たちで、「セクシュアル・ハラスメント一万人アンケート北海道の会」が十二月十二日発足し、当面一〇〇〇人から調査することとした(道新 平1・12・13)。セクハラ問題はふだん生活するあたり前の社会で依然としてたちはだかり、女性たちが「ノー」を叫び続けない限りなくならないといったのが実状であった。前述した女のスペース・おん(近藤恵子世話人、のち代表)が五年一月発足した電話相談のうちセクハラを含む人権侵害が一位を占めていた。具体的活動は、同年七月五日、市議会に「性の商品化」を理由に「おいらん道中」廃止にかかわる陳情(おいらんの図柄のあるタイル撤去も含む)提出をはじめ、同年九月十八日、女性のための労組「さっぽろ ウイメンズ・ユニオン」を結成し、セクハラ、不当解雇などに取り組みはじめた。女性をとりまく職場環境を変えていく必然性に迫られていたからである。
 セクハラ問題は、企業、官庁、小・中・高・大学といったそれぞれの職場・教育現場でも次第に顕在化されやすくなってゆく。八年九月、連合は、女性が働きやすい職場環境をつくるため、労使が労働条件などに関して結ぶ「労働協約」にセクハラ防止規定を盛り込んだ運動方針の素案をまとめた(道新 平8・9・25)。八年中では、政府の男女共同参画推進本部(本部長・橋本龍太郎首相)会議で、「二〇〇〇年度までに進めるべき具体的施策をまとめた行動計画「男女共同参画2000年プラン」を決定し、職場でのセクハラに対する法整備を含めた有効な防止策の検討を行うこととなった(道新 平8・12・13夕)。また一方、労相の諮問機関・婦人少年問題審議会では「男女雇用機会均等法」の見直しを進めるにあたり、セクハラ防止規定も明記されることになった(道新 平8・12・17)。