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教育相談員

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 教育相談員制度については、五十五年から設置を札幌市教育長に要望していたが、翌年五月に発足、相談員として非常勤職員一人が配置された。これまで、職業・生活相談員が代わりを果たしてきたが、きめ細かな進学・就職指導を行うことを重点とした。最初の仕事として、札幌市小学校校長会理事会において、アイヌ観光地の設置場所や修学旅行によるアイヌ民族の偏見と差別を助長させないために正しい認識を持つように協力要請を行った。さらに、ウタリ協会札幌支部会員の子供たち対象の夏期キャンプを実施し、寝食を共にし、自然の中でのびのびと交流を行った。当面の課題は、ウタリ教育相談専用電話「教育110番」による対応や、「日曜学習会」の充実、発展、父母たちが何を望み、何を必要としているかの話し合いであった(道新 昭56・12・10)。五十八年度の教育相談員実績報告によれば、学校訪問一五件(在学中の子供たちが卒業後、進学または訓練校など、何を希望しているのか知るため)、家庭訪問九二件(家庭内暴力・万引き・シンナー遊びなど)、電話相談四二件(奨学資金の相談や夜間自宅まで出張相談依頼多い)、来館相談四二件(生活館では相談しにくいため自宅まで出張訪問希望者が多いのが現状)、教育対策を進める(夏キャンプ研修会、冬山研修会)などが報告されている。このほか、「札幌市立(幼・小・中・高)教職員のアイヌに関するアンケート」作成を行ったのをはじめ、以前から継続の高校・大学・専門学校進学奨励補助・貸付等の修学資金を延べ七六人の子弟等に行った。相談員としては、「せめて中学生の生徒にも」と、意見を述べている(ウタリ協会札幌支部20年の歩み)。