ビューア該当ページ

ホームレスと疾病

697 ~ 698 / 1053ページ
 また、札幌の都市に起因する問題に路上生活者(ホームレス)の病気がある。路上生活者は、戦後長い間夏場に本州から北海道に移動し、初秋には本州に戻るパターンが多くみられたが、平成のバブル期以降はリストラなどが原因で道内で新たに路上生活者となる場合もあった。場所も大通公園や地下街入り口の階段に寝泊まりしたり、札幌駅西側の高架下には「テント村」を作って厳冬期にも住む人たちが出現した。「北海道の労働と福祉を考える会」(代表・椎名恒北大教育学部助教授)による平成十一年十一月の調査では、市内路上生活者五三人を確認した(道新 平11・11・17)。市では、十一年十二月二十四日に建設一般労組道本部から路上生活者への健康診断や治療、施設入所など措置の要請があったことから、同年に本人の同意を得て、一三人は救護施設に入所させ、四人には医療救済措置を講じた(道新 平12・6・1)。しかし、十二年十一月の同会の再調査では市内路上生活者は九九人に増えているのが確認され(道新 平12・11・19)、同年八月に同会が行った医師らによる「生活健康相談会」では高血圧など医療救済を必要とする人が多くみられた。ほかにも無料の銭湯入浴券や食事が提供された。