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生活保護状況の推移

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 その時代の社会的経済的状勢にもっとも影響されるのが、生活保護の推移である。人口増が他都市と比較にならないほど顕著であり、政令都市指定当初約一〇〇万人が一八二万人へと、一・八倍になったことも考慮しなければならない。いまや札幌市の人口は全道の三分の一に及ぶ。昭和四十七年(一九七二)から平成十二年(二〇〇〇)までの保護状況の推移をグラフに示すと、図6のような大きな曲線を描く。『生活保護の現況 平成12年版』によれば、札幌市の場合、約三〇年間にして被保護者は一万七〇〇〇人台から平成十二年は三万八〇〇〇人を超え保護率にして一六・三パーミルから二一・〇パーミルへと上昇中である。グラフでもわかるように、昭和五十~五十七年にかけて最初のピークがあり、再び平成二年にいたる第二のピークにさしかかる。四~八年までは谷底を打った感を示したが、九年から次第に上昇を続け、十二年現在上昇中であり、第三のピークの終焉は見えない。次に、グラフに示した三つのピーク時の社会・経済的背景を解説してみよう。

図-6 保護状況の推移
生活保護の現況』(平成12年度版)より。

 最初のピークは、三十年代後半のエネルギー転換政策に継ぎ、四十八年に始まる石油危機の影響を受けて、道内炭鉱のあいつぐ閉山、それに追い打ちをかけて冷害が襲いかかる。安定期もわずか三年で第二のピークに達する。炭鉱のあいつぐ閉山、消費税導入、株・円安、バブル崩壊を経て平成五年には保護率一六・九パーミルといった五番目に低い数値を示す。バブル崩壊後から米の大凶作、阪神淡路大震災を経て、八年頃まで低い数値で進む。ところが、九年に大型倒産があいつぎ、北海道拓殖銀行の経営破綻頃から再び急上昇をはじめ、第三のピークの終焉の予測は不明である。失業率が過去最高を更新したり、自己破産申請者が急増するなど、景気回復のきざしはまだ見られない、といったことが背景として考えられる。
 平成九年から十二年までの保護率を政令指定都市を含む都市比較でみたのが表29である。十二年の場合保護率の高い順では、大阪市二五・五パーミル、札幌市二一・〇パーミルと二番目に高い。十一年に京都市を抜いて二位となった。逆に低い順では、千葉市、仙台市、名古屋市、横浜市である(生活保護の現況 平13年度版)。
    表-29 大都市の保護率の推移(単位:‰)
平9平10平11平12
全国7.27.57.98.4
札幌市17.318.419.721.0
仙台市5.55.96.36.9
千葉市4.85.36.06.6
横浜市7.68.08.89.5
川崎市10.010.912.013.0
名古屋市6.66.97.58.0
京都市19.719.519.720.2
大阪市19.421.023.125.5
神戸市15.016.017.519.1
広島市7.88.58.99.6
北九州市13.813.212.912.6
福岡市14.714.915.315.8
生活保護の現況』(平成13年度版)より。

 ここには示していないが道内主要都市比較でみると、十二年度の高い順では、函館市三〇・九パーミル、釧路市二八・四パーミル・小樽市二七・二パーミルで、以下室蘭市、旭川市、札幌市の順で、六位となっている。また、札幌市の年齢階級別保護率でみると、六五~六九歳が三八・五パーミル、七〇歳以上が三七・四パーミル、六〇~六四歳が三四・一パーミルと高齢者に高いことが特色である。また同時に、六~一四歳が二九・八パーミル、一五~一九歳が二〇・八パーミルといった未成年者に高いことも特色である。