児童相談所は、
児童福祉法に基づき、昭和四十七年四月に設置された児童福祉の専門機関であり、一八歳未満の児童に関する問題について、児童福祉司、心理判定員、小児科医、精神科医等の職員が、家庭等からの相談に応じて、専門的な立場から調査・判定に基づいて必要な助言、指導を行うとともに、具体的、専門的な対処を行っている。相談受理件数について平成元年度から十二年度までを表32に示した。十二年度の場合、相談受理件数は三八六九件で、このうち最も多いのが心身障害相談で二六二七件(六七・九パーセント)であった。子どもの養育に関する養護相談は七五六件で、前年度に比較してやや増加した。なかでも児童虐待は十年度から相談件数の増加が著しい。家庭に潜行しがちな児童虐待が深刻化する前に早期発見・早期対応を図ることが重要なため、警察や医師会、弁護士会、民生・児童委員、小中学校校長会などの関係団体等から構成する「
児童虐待予防・防止連絡会議」を発足させて協議を重ね、予防・防止に努めている。十二年五月には「
児童虐待防止法」が成立した(業務概要 札幌市
児童福祉総合センター 平13)。また、
児童相談所内の一時保護所においては、緊急保護(遺棄、虐待、放任等の場合)、行動観察(適切な処遇方針を決める)、短期入所(生活指導やカウンセリング)の必要がある場合に児童の一時保護を行っている。この他、六年度から「
子ども電話相談」を開始して、不登校、引きこもり児童に対し、福祉または心理学専攻の学生をメンタルフレンドとして、児童またはその家庭に派遣し、自主性や社会性の伸張を援助することも行っている(同前)。
表-32 児童相談所相談種別受理件数 (単位:件) |
年度 | 養護相談 | 心身障害相談 | 非行相談 | 育成相談 | その他 | 計 |
| 児童虐待 |
平 1 | 398 | 82 | 1,717 | 537 | 379 | 25 | 3,056 |
2 | 428 | 96 | 1,879 | 507 | 190 | 26 | 3,030 |
3 | 428 | 82 | 1,946 | 375 | 114 | 28 | 2,891 |
4 | 509 | 97 | 1,699 | 347 | 148 | 21 | 2,724 |
5 | 546 | 97 | 1,883 | 251 | 139 | 7 | 2,826 |
6 | 527 | 90 | 1,993 | 263 | 163 | 17 | 2,963 |
7 | 540 | 79 | 2,475 | 276 | 158 | 25 | 3,474 |
8 | 465 | 78 | 2,360 | 293 | 191 | 14 | 3,323 |
9 | 657 | 81 | 2,753 | 376 | 243 | 24 | 4,053 |
10 | 637 | 125 | 2,618 | 343 | 242 | 10 | 3,850 |
11 | 692 | 137 | 3,121 | 286 | 215 | 12 | 4,326 |
12 | 756 | 252 | 2,627 | 239 | 239 | 8 | 3,869 |
さらに、全区の保健福祉部に家庭児童相談室を設置し、
家庭児童相談員(各区一人)が児童問題の窓口として学校、
児童相談所などの関係機関と連携を図りながら問題解決にあたっている(保健福祉局事業概要 平成13年度)。