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高齢化の進展

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 札幌市は高齢化の進展の増加率が高い都市である。昭和四十五年(一九七〇)以降平成十二年(二〇〇〇)の間の国勢調査による人口の推移は表33のとおりである。総人口の増加傾向は、三〇年間で一・八倍、これに対して老年人口係数(総人口に占める高齢者割合)、後期高齢者比率(六五歳以上高齢者に占める七五歳以上高齢者割合)の増加傾向は著しい。一方、世帯数の伸びは、総人口の伸びを超えており、平均世帯人員は一貫して縮小しつつあり、十二年段階では二・三人前後の小家族化傾向にあることが分かる。核家族化と都市化の進展は自ずと高齢者扶助機能を社会的サービスに依存する傾向となる。このように本市においては、高齢者の移動、特に市内外からの転入・転出等移動の内容が注目される。九年に実施された「札幌市高齢移動者実態調査」結果によれば、次の特色が見られる(エイジング総合研究センター 札幌市高齢移動者実態調査研究報告書 平10)。
表-33 札幌市における人口構造の推移
年次総人口性比
男100
老年人口係数後期年齢者比率老年人口指数従属人口指数世帯数平均世帯人員
昭45 1,010,123100.84.626.96.337.6311,2343.25
 50 1,240,613101.95.328.37.440.3419,4752.96
 55 1,401,757102.86.231.38.841.5508,8232.75
 60 1,542,979104.97.535.310.540.4566,2872.72
平 2 1,671,742106.69.137.312.637.7646,6472.59
  7 1,757,025108.411.536.715.937.3718,4732.45
 11※1,804,258108.313.637.118.838.3769,2572.35
 12 1,822,300109.8
 12※1,814,390108.714.237.919.738.8781,5562.32
『札幌市統計書』(平成12・13年版)より作成。各年国勢調査による。ただし※の平成11・12年については住民基本台帳(10月1日現在)による。

全年齢での居住移動において転入超過率が一三大都市でもっとも高い(〇・六三パーセント)。
高齢期の転入率が高く、加齢とともに急激に上昇する。
男女比は転入・転出・市内転居とも一対二であり、前期高齢者が六割を占める。
転入者は転出者よりも後期高齢者が多く、介助を必要とする者の割合が高い。
札幌市は転出先の自治体と比較して医療サービスへのアクセスがよい。
転入者の移動理由は、「家族と同居」二一・三パーセント、「家族と近居」一五・〇パーセント、「住宅事情」九・八パーセントであり、以下「仕事の都合」「家族の介護を必要とする」「病気」「退職」「配偶者の死・離別」「老人ホーム入所」「病院に入院」と続くが、「在宅福祉サービスの利用」は少ない。
転出者の移動理由は、「家族と同居」二二・一パーセント、「住宅事情」二一・四パーセント、「家族と近居」九・六パーセントとなり、以下「仕事の都合」「老人ホーム入所」「家族の介護を必要」「病気」「退職」「配偶者の死・離別」「病院入院」と続くが、ここでも「在宅福祉サービスの利用」は少ない。
転転入と転出の理由を比較すると、転入で高いのは「病気」「病院入院」であり、逆に転出で高いのは「老人ホーム入所」である。
市内転居者の場合は「住宅事情」が四割、「老人ホーム入所」が二割で、他の理由は極めて少ない。

 以上の点からも、高齢者の場合、特に医療サービスへのアクセスが良いことから医療需要を喚起させ、それがさらに医療需要を喚起するといった循環があると見られる(米本秀仁 札幌市の高齢者福祉の現状 札幌の歴史 41号)。