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老人医療費助成事業

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 老人医療費助成事業は、老人保健の向上と老人福祉の増進を図ることを目的として昭和四十六年(一九七一)八月、七〇歳以上の国保加入者を対象に実施された。これに先だって四十五年から四十六年にかけて「札幌老人運動協会」の高齢者たちが、老人医療費無料化運動を展開し、街頭署名活動、市議会への陳情の提出など、はたらきかけがあった。四十六年四月の市長選挙では、板垣・大内両市長候補が老人医療費無料化を選挙公約として掲げたことからこの問題があらためてクローズアップされた。選挙の結果、板垣市長の誕生をみ、公約の実現が期待された。
 高齢者団体からは、二件の請願がなされ、一つが札幌老人運動協会からの「六五歳以上の老人の医療費無料化」(請願第八号)要望であり、いま一つが札幌老人運動連盟(老人運動協会から分裂)からのもので「七〇歳以上の老人医療費の無料化の即時実施」(請願第一号)を求めるものであった。やがて、請願第一号が採択され、実施された。さらに札幌老人運動協会からは対象年齢の引き下げ等の請願を市議会に提出するにいたる。高齢者たちは市役所玄関に座り込んで署名活動を繰り広げ、市民に協力を訴えたばかりでなく、「老人医療費無料化の市長公約の完全実施を要求してハンストを決行するものである」のたれ幕を下げ、市役所前でハンストを決行する一幕もあった(十三期小史)。
 その後社会保険各法の被扶養者、さらには六五歳以上七〇歳未満のねたきり老人にまで対象範囲を拡大した。また、四十八年一月には国の制度「寿」が開始されるとともに、札幌市の事業は逐年所得制限の緩和、対象年齢の引き下げなど、国の制度に比べ対象者の範囲を大幅に拡大した。
 さらに、五十三年二月には北海道の制度「道老」が開始され、五十八年一月までは国、道及び市の制度「市老」の各制度をもって実施してきた。札幌市の老人医療費助成事業には、北海道の補助を受けて実施している事業(道老、六五歳から六九歳が対象)と、市独自で助成している事業(市老、六八、六九歳が対象)がある。平成十二年度における老人医療費助成事業(道老+老)の受給対象者数は一万四七三〇人(月平均)で、前年度と比べ四・八パーセント増となっている。また、助成額は、約一三億七〇〇〇万円となっており、前年度と比べ六・三パーセント増となっている(図7・8)。

図-7 老人医療費助成額と受給対象者の推移
『札幌市の老人医療』(平成13年度版)より。


図-8 札幌市の老人医療費助成額(平成12年度)
『札幌市の老人医療』(平成13年度版)より。

 助成額の内訳では、老人医療の場合外来が最も多く六億四八九七万円で四七パーセントを占めており、次いで入院が二億六二七六万円で一九パーセントとなっている。十二年度における各制度の受給者数は、道老が二七五〇人で前年度より二・二パーセント増となっており、全体の約一九パーセントを占める。市老が一万一九八〇人で前年度より五・四パーセント増となっており、全体の約八一パーセントを占める。この構成割合はこの数年ほとんど変化はみられない。十二年度医療費は、道老が約三億一五二七万円で前年度より二・三パーセント増となっており、全体の約二三パーセントを占める。市老が約一〇億五一八四万円で前年度より七・五パーセント増となっており、全体の約七七パーセントを占める。医療費の構成割合もこの数年変化はみられない(札幌市の老人医療 平13年度版)。