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巨星たち逝く

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 平成十一年は北海道文学全体が大きな喪失を抱えた年であった。『氷点』『塩狩峠』など多数の著書を残した三浦綾子(旭川・十月十二日没)、映画化された『恋人たちの時刻』の著者・寺久保友哉(一月二十二日)、『岬から翔べ(とべ)』等の川辺為三(四月十六日)、『冬の燕』等スケート三部作を書いた八重樫実(十一月二十九日)、そして詩人の和田徹三(六月二十七日)、歌人・中山周三(九月二十二日)がこの年に死去したのだった。いずれも後続世代を育て、支援してきた大家たちであった。さらに年末の十二月九日、北海道の文学活動の支柱であった小笠原克が死去した。『〈日本〉へ架ける橋』『小林多喜二とその周圏』等の著作をはじめ、勤労者文学運動も推し進めた、六八年の生涯であった。さまざまな雑誌で追悼特集が編まれる中、翌十二年にも『札幌文学』の鎌田純一(十月四日没)、西村信(十一月三日)の訃報があり、文学の世紀の終わりを告げるかたちとなった。