五十六年の駅裏8号倉庫、江別・どもの流れと同質のコンカリーニョ(平7)は、琴似駅前劇場といわれた日食倉庫を改造した劇空間であった。そこから生み出されたのは芝居だけでなく音楽や踊りまで幅は広い。魴鮄舎(ほうぼうしゃ)、極などの芝居がそこから生まれたし、帯広や釧路の小劇場公演も演じられた。
ただ残念ながらマリア・テアトロは平成十二年に売却されて閉鎖となり、コンカリーニョも最近解体されて今はない。しかし札幌の劇場を考える会が若手演劇人によって結成され、コンカリーニョはNPO(民間非営利団体)法人として、再建をめざし新しい活動を始めた。
一つの劇場が消えたという単純なことではなく、少なくとも「北海道演劇」がこれから獲得するに違いない成果の何割かを失ったというのは言い過ぎだろうか。
(250席の永遠 平13)
この悔しい思いの中に、札幌の演劇人たちの心意気を感ずる。