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二一世紀において

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 二〇世紀末の三〇年、わが国プロテスタントの源流のひとつに数えられてきた札幌のキリスト教界も大きな変貌を遂げた。その源流の歴史を継承してきた戦前来の諸教団・教会の延長では、二一世紀初頭、札幌のキリスト教界の現況がもはや捉えがたいものとなり、教団・教会数の増加によって、札幌でもキリスト教界は多様化してきた。市内のプロテスタント教会のほとんどが加盟していた札幌キリスト教連合会は、いまやその半数によって組織されるにとどまっている。かつて同連合会によって主催されてきた「市民クリスマス」は、札幌市民クリスマス実行委員会によって、平成十三年(二〇〇一)年から再開されたが、この実行委員会の大半は、一九七〇年代以降、札幌に進出した教団の教会かまたは新たに設立された教会によって組織されている。

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写真-6 札幌市民クリスマス(平16.12.3 札幌市教育文化会館)

 キリスト教界の多様化は、宣教の幅を多面的に広げさせた。平和、人権、環境、生活、障がい者問題など社会的関心への広がりは、教会の宣教が、新たな入信者の増加を目指す活動にとどまらないものとして捉えられるようになった。これはとみに社会問題への関わりを深めた日本基督教団北海教区の教会に限らず、カトリックにおいてもJEA加盟の教会、単立の教会などにおいても、主要な宣教課題となっている。
 大都市化する札幌の〝繁栄〟の陰で、精神と生活の危機がいっそう進行している。これに対峙する教会・キリスト者によって、〝宣教〟はその幅をさらに広げつつある。