享保期に書かれた「信府統記」より以前の記録がほとんどありません。松本領域の歴史を知る江戸時代の村関係史料はいくつかありますが、松本藩がまとめた史料は皆無といってよいでしょう。それだけに、「信府統記」は、藩が独自にまとめた記録であり、その利用価値も高いのです。
「信府統記」の凡例には、松本にとどまらず、その扱う範囲を、信濃国全域にわたるとしています。また、できるだけ史実に即して記述しようとする態度がうかがえます。それだけに、「信府統記」全体にわたって、その収録史料は、より客観的な立場から掲載されているといえる。