第八編 浅間登山

 はじめに、浅間山麓のことわざには「二度行く鹿に行かぬ鹿」とある、浅間山に行かないのはその通りだが、二度行くのも鹿というが、これは浅間山を知らぬものの言うこと、これこそ大鹿者だと述べ、浅間山登山の良さを十項目にわたり連ねています。
 次に登山の季節は五月から十一月だが、七月上旬から八月中旬に登山者が最も多いと書いています。また、身支度や食料、登山案内、「望みとあらば強力などの需(もとめ)に應ずるは勿論なりとす」とまで書いています。
 浅間山登山会の項には小諸町有力者のもの、小諸尋常高等小学校職員児童一同の大登山会などがあるとし、その活動を記しています。
 次に登山道が示され「小諸口」が本道だとし、道順をくわしく記しています。続いて「軽井沢口」、「追分口」「塩野口」が紹介され、「溶岩流遺跡の探検」を勧めています。最後に「火口に入る者は科学的研究の為めにすべきもので、決して自殺のためにしてはならぬ」とし、火口へ身を投げるものがいたことを示唆しています。