13
三 村 千 載
千早振神代の代よりしけりけん
ひるもをくらき木曽の檜原は
朝な夕な真木の茂れる木曽山に
雲のかゝれるさまのをゝしき
山といふ山はあれどもとこもはに
真木木のしけれるやまは木曽山
そのむかし伊勢の宮木を伐いてゝ
こたまにひゝくほまれ高くも
君むかしゆつりまつりし木曽山の
(改頁) 14
いまは御料となりにけるかな
深山木もめくみの露にうるほひて
ときはかきはにいや栄ゆらん
み林をゆつりまつりしまこゝろは
なかれてきよし木曽の川みつ
み林のあはひに匂ふもみちはゝ
民のこゝろのもゆるなりけり
うゑて伐りきりては植うる大木曽や
小木曽の檜原つくるときなし
山といふ山の檜原にとはすとも
木曽のみ山と人はいふらん