解題・説明
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宝暦十一年[一七六一]、加賀藩五代藩主前田吉徳の十一男時次郎[治脩]が、勝興寺住職として入寺の際に使用した大名駕籠[女乗り物]と伝える。同種のものが石川県美術館に所蔵され、加賀藩御細工所製といわれている。本輿も加賀藩御細工所で造られたものかもしれない。 輿の本体および屋根、長柄などの外側面は、全面黒漆地に金高蒔絵の梅鉢紋と、切金や金平蒔絵の唐草文で飾られ、内部は一部破損しているが、金紙を貼り巡らし、その上に極彩色で雪中松に鶴、牡丹花に鶴などの吉祥絵を描く。天井格子には各区画に宝珠、珊瑚など宝尽くしを描いていて華麗である。また、金工芸では輿の前後の上部に大きな梅鉢紋、各部の隅、縁、長柄通し等に精巧な毛彫りで梅鉢紋や唐草文が施され、大名駕籠にふさわしい荘厳さを添えている。(引用:「重要文化財勝興寺本堂落慶記念 勝興寺宝物展」)
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