寿老人松竹鶴図(じゅろうじんしょうちくかくず) [目録を見る] [ 宝物解説へ ]
作者の狩野探雪守定は、江戸時代の画壇に巨大な影響を与えた狩野探幽守信(1602~74)の次男として明暦元年(1655)に生まれた。通称は主殿(とのも)、探雪または孟隣斎と号した幕府の画員であった。正徳4年(1714)60歳にして没す。探幽は、長男の探信守政が相続すべき知行を両分して探雪に一家をたてさせるが、探雪の子の探牛は早世し、その家系は断絶する。
本作の主題の寿老人は、七福神の一人である。道教における南極星の精であるが、福徳をもたらす福禄寿と同一視されることが多い。本作でも、寿老人が白い鹿に寄りかかるように描かれており、鹿の「ろく」に禄を掛け、松に長生(寿)を掛けて、福禄寿に見立てることを可能にする。左幅に強靭な生命力を持つ竹、また左右幅に仙人の乗り物で長寿のシンボルでもある鶴を配して、より祝儀的な内容を持っている。
父・探幽に似た余白を活かした淡泊な画風であるが、大書院に掛けるにふさわしい三幅対の威風をそなえた絵である。
(高田克宏)
【参考文献】『浄土真宗と本願寺の名宝Ⅰ-受け継がれる美とこころ-』龍谷大学 龍谷ミュージアム,平成28年(2016)