親鸞聖人像(しんらんしょうにんぞう) [目録を見る] [ 宝物解説へ ]
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正面を向き両手で念珠を爪繰る、「等身御影」または「真向きの御影」と称される親鸞像で、特に本願寺とゆかりの深い寺院に所蔵が許されたものである。「等身御影」の名は、かつて大谷本願寺に安置されていた親鸞像を写したという伝承に由来する。
その姿は通例のごとく白い帽子(もうす)を巻き、黒衣に黒袈裟を着ける。座具は繧繝縁(うんげんべり)の上畳を乗せた二狭間(にさま)の礼盤(らいばん)とする。「等身御影」の根本像とされる本願寺本(文明9年[1477]蓮如裏書)に概ね倣っているが、左肩口の袈裟を吊る白い紐は本願寺本にはない要素。面貌はやや丸くふっくらとし、額や目元、口元には深い皺が刻まれている。
本図は慶長16年(1611)に、本願寺第12世・准如より勝興寺第11代住職・顕称(1578~1638)に授与された。越中における真宗の要衝にして、本願寺との関係も深い勝興寺にふさわしい一幅といえる。
(高田克宏)
【参考文献】『浄土真宗と本願寺の名宝Ⅰ-受け継がれる美とこころ-』龍谷大学 龍谷ミュージアム,平成28年(2016)