唐草梅鉢紋金平蒔絵小物宝箱(からくさうめばちもんきんひらまきえこものたからはこ)
[目録を見る] [ 宝物解説へ ] 四角の大箱の中を2段に分け、下段に円筒形小箱2個と乾燥剤として稲藁1束を置き、上段には計8個の角小箱を詰め、中央の空所に細かく刻んだ藁屑を袋に入れた乾燥剤が置かれている。角大箱および角小箱と円筒箱は、大小に関わらず全ての縁を金沃懸地(いかけじ)、器面を黒蝋色地に金平蒔絵の唐草模様と前田家の家紋の梅鉢紋で飾り、各小箱の中には、敷き綿の上に小さな宝物が収納されている。
それらは幸運をもたらす玉虫や小さな鷹の羽、また、安産と子供の健やかな成長を願う子安貝などの宝貝や龍の落とし子、そして穢れを祓い夫婦円満をもたらす夫婦雛である。世間を知らぬ娘が未知の土地に嫁ぐにあたり、幸せを祈る親の願いの現われであろう。
前田家の家紋が施されており、箱が江戸時代末期の作風であることから推察すると、本資料は勝興寺第22代住職・広済に入輿した、前田家第13代当主・前田斉泰(なりやす)の養女・清皎の持参品と考えられる。