解題・説明
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峨山禅師の真筆と伝わる瑩山禅師の野位牌の添書。野位牌は、通常埋葬の際、墓に祀られるものである。 添書に依ると、峨山禅師の下で得度し、無端祖環(?~一三八七)に嗣法した瑞巌韶麟(一三四三~?)が、応永三十年(一四二三)の開山忌に際し、後世のため錦の袋に入れ寺庫に収めたとされる。『住山記』によると、韶麟は總持十三世であり、伝記によると応永三十一年に、再び總持寺に住したとされる。 位牌は禅宗の伝来と共に中国から伝わったとされるが、当時の位牌の形状、記載法、そして野位牌として使用された具体的な事例は少ない。当時の様相を知る、貴重な資料といえる。 但し、初期の葬送儀礼において「位牌」の事例は確認できない。瑩山禅師の葬送に際し野位牌として祀られたかは、今後検討を要する。
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