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解題・説明
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本図は、嵐の海のようにうねる波から、勢いよく飛翔する龍を描く。中国では、龍は神獣や霊獣として信仰され、雲を起こし、雨を呼ぶ力を持つとされる。寺伝によれば、宋の牧賂筆で、もと總持寺五院の一つであった妙高庵より伝えられたものである。 龍の輪郭線や鱗、波のうねりやしぶきを丹念に描き、ぼかしや吹墨を多用し、浪や雲をつきやぶるかのような龍を躍動的に表現する。空想上の生き物であるが、眼光鋭く上空を見上げる様は、どこか人間的な相貌を持ち、生き生きとした表情を見せる。画龍の名手として名高い陳容の龍図を範としたような構図も興味深い。牧谿の筆と定めることはできないが、気迫ある大胆な筆致と装飾性を織り込んだ表現には画家の優れた手腕がうかがえる。能登に伝わる元時代の水墨画として興味深い作品である。
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