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公開解説
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本屏風は、「春鶯囀」「打毬楽」など一二種の舞楽を屏風の各扇に一つずつ描いたものである。いずれも画面中心に舞楽を描き、上方に槍霞の中に浮かぶ山岳を遠景とし、その右端に色紙形を設け、舞楽の名称を墨書している。現在、六曲一双に表装されているが、いずれを左隻、右隻としていたか、不明である。 制作年代は、舞楽図が景観の一部から主題へと変化する過渡期である室町時代末期の作と推定される。 室町時代の作品で、本図のようにやまと絵系の人物画を屏風装の大きな画面に描かれた例は稀である。また、近世に廃絶した「秦王破陳楽」が存在することや、通例は四人舞であると伝える「新鳥蘇」を二人舞とするなど、舞楽の所作、装束、持ち物などを記録した図譜あるいは研究資料として保存されてきたものと考えられる。 室町時代末期の作品と推定される本屏風は、舞楽という主題と制作年代の上からみて、きわめて貴重なものであり、舞楽の秘伝の存在をも示唆する重要な課題を内包した作品である。
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