平成24年12月1日、本市は市制施行70周年という節目を迎えました。70年前の昭和17年12月1日、鈴鹿郡、河芸郡の2町12カ村が合併して市制が施行され、本市は人口約5万2千人の「軍都」としてのスタートを切りました。
戦後の本市は、軍関連施設の跡地へ平和産業の誘致を進め、F1レース開催地に代表されるように、自動車産業を始めとする、伊勢湾岸地域有数の内陸工業都市として発展してきました。また、農業においても、恵まれた豊かな大地で、茶や花木をはじめ、水稲などの生産が活発に行われ、農業と工業がともに成長した都市として現在に至っています。
私たちは、市制施行70周年というこの記念すべき年を契機として、鈴鹿市の将来都市像である「市民一人ひとりが夢や生きがいをもって安心して暮らせるまち すずか」の実現に向けて、一段と飛躍したいと考え、記念事業のキャッチフレーズを新生「SUZUKA」発進!とし、 この年を、「先人に学び、新たな道を切り拓く年」と位置づけています。本誌発刊もこの記念事業の一環として行われました。
戦中・戦後史を扱ったものとして、平成14年には、市制施行60周年記念として、「鈴鹿市のあゆみ」を刊行しています。年月の経過とともに姿を消しつつある軍関連施設について貴重な遺産の記録を資料として綴ったこの冊子の発刊以来、10年の歳月が流れました。
今回の「鈴鹿の記憶 ―戦中・戦後の証言と資料 ―」では、その名のとおり、軍都から平和都市建設へのあゆみについて、聞き取りによる貴重な証言と、公文書や新聞等の資料を中心に、そして識者からの考察や鈴鹿市への期待を加え、鈴鹿の現代史に光をあてる貴重な資料集として作成いたしました。本誌をひも解いていただき、戦中・戦後を生き抜かれた多くの人々の悲しみ、苦しみ、怒り、楽しみや喜びなどをご実感下さい。懐かしさや驚きとともに資料もご覧になって下さい。お読みいただく中での新たな発見が、「先人に学び、新たな道を切り拓く」大きな礎になることを願ってやみません。
末筆になりますが、この度の発刊に際しまして、ご協力いただきましたたくさんの皆様方に敬意と感謝を込めて厚くお礼申しあげます。
本当にありがとうございました。
平成25年3月