解説
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「吉原細見の世界Ⅲ前編」:【前期】右側の丁の見返しには、揚げ代と特別料金が発生する「紋日」がいつかが記されている。
左側の丁はほとんどの場合、文章による序文が載せられているが、本書は、遊女が長い棒で突き、屋根の上に乗ってしまった羽子板の羽根を取ろうとしている図が描かれる。絵師は戯作者として著名な山東京伝で、浮世絵師としては「北尾政演(きたおまさのぶ)」と号して活動した。ただし、ここでは「京伝画」との署名がある。
なお、浅草寺には、弟の京山が建てた「山東京伝机塚の碑」(台東区有形文化財)が現存する。
【中期】「耕書堂蔵板目録」として蔦屋重三郎が発行した本のリストが掲げられている。それまでにも、末尾に発行元である本屋がこうした蔵版目録を付した例はあったが、吉原細見に付したのは、初代蔦重が初めてである。
本書には、喜多川歌麿が描いた豪華な多色刷り狂歌絵本『絵本虫ゑらみ』など 66 タイトルの書籍が二丁半にわたって掲載されている。
【後期】蔦屋重三郎が発行した本のリストを掲げた後の最末尾に、「細見改」として浅草田町一丁目(現、浅草五・六丁目)の小泉忠五郎と、江戸通油町の板元蔦屋重三郎の刊記が載る。末尾に発行元である本屋が蔵版目録を付した例はあったが、吉原細見に付したのは、初代蔦重が初めてである。
本書には、喜多川歌麿が描いた豪華な多色刷り狂歌絵本『絵本虫ゑらみ』など 66 タイトルの書籍が二丁半にわたって掲載されている。
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