解説
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「絵本江戸土産~広重が描いた台東区~」:吉原では、江戸町、揚屋町、京町、角町、伏見町の5つの町にまたがるメインストリートに桜が植えられた。それは春の季節だけ登場し、その後は撤去されてしまうという、全国的にも珍しい年中行事であった。右下に描かれた天水桶は、雨水を貯めておくもので、主に防火用水として利用された。記された文字からこの作品は角町であることがわかる。
「吉原細見の世界Ⅲ前編」:右端に描かれた天水桶に立てかけられた札に「角町」とあり、黒く塗られた木戸門があることから、吉原の中ほど南側に位置する角町(すみちょう)の入口であることがわかる。図において、正面の通りを挟んだ両側、天水桶のある右側と桜が植えられている左側を合わせて角町と称した。
メインストリートに春の季節だけ植えられる桜を見に来ただけではなく、遊郭で一晩過ごした後、帰路に向かう客たちを描くのが興味深い。
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