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IIIFビューア
ジャンル 浮世絵
資料ID 2021_u_017
地点番号
地域 浅草
資料名1 浅草寺大塔解訳
資料名1かな せんそうじだいとうかいしゃく
資料名2
資料名2かな
シリーズ名
英文タイトル
縦・横・厚(cm) 35.8×24.1
判型 大判
時代 江戸
成立年月日 安政2年(1855)10月頃
成立年月日終
改印(検印)
作者名
作者情報
署名等
発行者名
版元印
撮影地点・方角
彫師
蔵書印
件名 五重塔 浅草寺 浅草観世音 観音 鯰絵 安政の大地震
スタンプ
画中文字 浅草寺大塔(とう)解(かひ)訳(しやく)
▲三十四代推古(すいこ)天皇御即位(そくい)より丗三年三月十八日宮戸川より観世音の
霊像(れいぞう)出現(しゅつげん)まし〳〵ける。尓共(しかれども)此節は今のごとき美麗(びれい)の大寺にあらず。扨又
今般(このたび)十月二日、江戸より近国迄も大地震ありて当山の五重塔九輪曲(まが)る。
又右地震以前に空中(くうちう)異形(いげう)の者、南方へ飛行(ひげう)せし由を云て地しんの
前表(しらせ)也といへり。付(ふ)会(くはい)の説(せつ)は信(しんず)べからず。尚(なを)又(また)昔(むかし)より大塔の異(い)変(へん)有しことを
説(とき)分(わけ)て恠(あや)し談(ものがたり)の気(き)惑(わく)を解(とく)べし。
▲村上天皇天暦十年十月京都
八坂法(ほう)観(くはん)寺(じ)の塔は何(なに)の
故(わけ)も無(なく)て
東へ
傾(かたむく)

㊁依之大に恠(あやしみ)種(いろ〳〵)々の説(せつ)をなせり。
番匠(だいく)の掛(かゝり)て是を直す。同十二月二日、又曲(まが)る。
又直して後又曲る。斯(かく)迄(まで)恠(あやしき)事(こと)限(かきり)なかるべし。於之術(てだて)も尽(つき)果(はて)たるおば
台岳(えいざん)の浄(ぜう)蔵(ぞう)といへる僧(そう)、祈(き)禱(とう)をなして傾(かたむき)たる大塔を真(まつ)直(すぐ)に戻(もどし)居(すへ)、其後
今に至て数百年を経(おく)る間(うち)、大地震度々有と雖(いへども)右の塔は一分も曲こと
なく、瓦一枚落たることなし。此談(ものがたり)と浅草の事を合て考見るべし。何(いづ)れを以
恠(あやし)とせん。右浅草寺は、中(ちう)興(かう)の祖寂(じやく)海(かい)法印 建(けん)長(てう)二年より丹(たん)誠(せい)をこらし
一山諸堂を建(こん)立(りう)し、日蓮聖人の弟子と成、寂(じやく)日(にち)房(ぼう)日(にち)寂(じやく)と改名し、橋(はし)場(ば)
深(しん)栄(えい)山長(てう)昌(せう)寺(じ)開(かい)山(さん)と成、其後別当数代かはり、再(さい)建(こん)もあり、今の塔は
元和四年二代君御祈(き)願(ぐはん)に付、御布(ふ)施(せ)在(まし〳〵)て替(かへ)造(つくり)、其後 八代君享(けう)保(ほう)六年㊂
㊃御施(せ)主(しゆ)に造(つくり)替(かへ)の諸伽(が)藍(らん)也。今年迠((まで))百三十六年也。
右年数の間、雨露(つゆ)風霜の気も炎(えん)暑(しよ)に乾(かはけ)るもの
表張の銅(かね)は其変(かはる)所なく共、真(しん)柱(ばしら)の木は幾年を経
るとも素の如にはあらず。老(ふる)木(き)に成は必(ひつ)定(ぜう)也。扨また
此度の地震は前(ぜん)代(たい)未(み)聞(もん)にして希なる大揺(ゆり)也。
依之((これにより))真(しん)木(ぎ)を振(ふり)折(おり)て表(そと)張(まき)の銅にてつなぎ㊄
㊅止こと有のみにて
別に変事なし。此(か)度(やう)の異(い)変(へん)ある時は人々
怪(け)異(い)の浮(ふ)説(せつ)を立、愚(ぐ)人を惑(わく)乱(らん)せしむ。若((もし))又
右塔に付、地震の前表(しらせ)もあらば所々にも其
験(しるし)有べきこと也。何(なん)条(ぞ)恠(あやしむ)にたらん。夫((それ))よりは一山の中
小堂の破(は)損(そん)は有共、大本堂は毛頭違変なし。
是全((これまったく))観世音の神通力守(しゆ)護(ご)と弥(いよ〳〵)信(しん)心(〳゛〵)有へき事なり。
展示履歴 「塔」(2022/03/18~6/12)、「関東大震災と復興-台東区の大正・昭和-」(2023/06/16~9/18)
室報第13号に図版掲載。
解説 「塔」:安政2年の大地震の後に発行された刷物。地震によって浅草寺五重塔が損傷した様子を描いている。絵に描かれているように五重塔の頂上部にある九輪が曲がってしまっている。絵には「此度の地震は前代未聞にして希なる大揺也」とあり、当時としても規格外だったことが分かる。九輪を見た人々は「曲がった」ことを「魔が通った」と言い、噂し合った。
「関東大震災と復興-台東区の大正・昭和-」:安政2年の大地震後に印刷された刷り物。地震によって浅草寺五重塔頂上部の九輪が曲がった様子を描く。安政大地震後には、地震をテーマにした板元を通さない作者不詳の浮世絵が多数出版され、これを総称して「鯰絵(なまずえ)」と呼ぶ。ナマズが描かれていないが、本図も鯰絵の一つである。
備考
書込み
宛名面情報
権利関係 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この 作品 はクリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。
詳しくは利用規定をご覧ください。
形態に関する注記 形態:縦絵
色:カラー
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