解説
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寛永寺清水観音堂の舞台と反対側の広場を描く。床几に腰掛けて桜餅や煎茶でくつろぐ大人たちの脇を、「桜田小学校」の旗で先導された小学生の団体が通っていく。桜田小学校は、現在港区立御成門小学校に統合されている。 このように上野公園は、老若男女が訪れ賑わう場所であったっため、文学作品の舞台にもなった。篁村「作り菊」では、「山王台の桂花の馨(かお)り」と記すだけで、上野公園内が舞台とわかる仕掛けになっている。 篁村は、江戸生まれ東京育ちであることもあって、東京の名所に関心が高く、「東京人の東京見物」という随筆も記している。
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