解題・説明
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土砂留とは土砂の流出を防ぐための砂防工事、治水工事のことである。燃料や肥料、建築用の木材を調達するために、山で樹木や柴草の伐採が行われてきた。その結果、江戸時代の武庫川水系の山々ははげ山に近い状態であった。こうした山は大雨に見舞われると、水を含んだ土砂が流出してしまう。また崩壊した土砂が川床に堆積し、川が氾濫してしまう可能性ある。そのため、こうした災害に備える必要があった。摂津国武庫郡・川辺郡に関しては、享保11年(1726)より尼ヶ崎藩の土砂留奉行が担当した。図上の赤い丸印は土砂留を実施した箇所を示している。この図によれば、全部で153か所の土砂留が行われた。必要に応じて、水や土砂をせき止めたり、植樹が行われたりした。本図は安場村の控えである。
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