解題・説明
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仲村家では、江戸時代の写本や和漢書、明治期の雑誌等さまざまな分野の書籍のほか、酒造関係の板木や印鑑等も所蔵していた。書籍は文化教養をうかがう資料として、また、板木や印鑑類は酒造業を視覚的に示すモノとして、本文書群を補足する資料であることから「附」として指定した。 左上から時計まわりに「温泉論」(自跋部分)、「寛政五癸丑年九月 蝦夷国コモロ江異国船着届并魯西亜記聞写一件」(写本)、「国本論」(写本)、「古刀銘尽大全」 「温泉論」は医家柘植龍洲の著作で、病気や懐胎における温泉の効用について述べたもの。自跋で龍洲は富田林の仲村楊渓のおかげで発刊にこぎつけたことを記し、感謝の気持ちをあらわしている。仲村楊渓は仲村新右衛門の号で仲村家住宅には現在も「楊渓亭」と書かれた額が掲げられている。 この新右衛門はロシアから送還された漂流民大黒屋光太夫らが将軍に謁見したときの記録「漂民御覧之記」を筆写しているほか(画像は文化元年/1804年のロシア船来航に関する部分)、松平定信の著作「国本論」等の写本を残している。
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