井上徳三郎  1867~1936

 

(いのうえとくさぶろう)

【近代】

井上農場開拓者。名古屋上長者町生まれ。関戸銀行に勤めたのち、明治29(1896)年に退職し、両替商を経営して成功する。明治39年に廃業後、同44年から猿投村四郷一帯の合計130haの買収を進め井上農場を開設。入植小作農を誘致した。また、猿投村財政の補填や、愛知県猿投農学校や三河鉄道猿投駅のための用地提供といった地域貢献も実施する。もっとも、駅開設には所有地開発の目論見もあった。茶道・華道・書道にも親しむ。大正12(1923)年に紺綬褒章を受章。大正15年6月には猿投村民が井上真冽翁頌徳碑を建立し、翌昭和2(1927)年の陸軍特別大演習の際には、侍従が勅使として農場に派遣される。徳三郎存命中の昭和11年には、農場付近一帯の猿投村字東山が字井上に改称された。昭和42年の豊田市への合併以後は井上町。


『新修豊田市史』関係箇所:4巻544ページ

→ 井上農場西加茂郡立農学校、三河鉄道