(じょうぐうじ)
【古代・中世】
岡崎市上佐々木町に所在する真宗大谷派寺院。三河三か寺の一つとして知られ、三河一向一揆の重要拠点の一つとして著名である。貞治3(1364)年成立の『三河念仏相承日記』には、建長8(1256)年、親鸞の弟子真仏・顕智らによる三河布教の際、庄司太郎(法名慶願)が顕智を招いて平田道場を建立したとある。上宮寺は、この平田道場が発展して成立した妙源寺(明眼寺、岡崎市・真宗高田派)から分立したとみられている。寛正2(1461)年に上宮寺住職の如光が本願寺蓮如(1415~99)から本尊として紙本墨書十字名号を授けられているが、この如光は矢作川流域・伊勢湾海域において商業・交通業を生業にしていたといい、真宗門徒の歴史的性格が知られる。上宮寺勢力の地域的展開は三河を中心にさらには尾張・伊勢にも及び、市域にも見出される(『如光弟子帳』)。三河一向一揆後には上宮寺住職尊祐を中心に三河本願寺教団の再興がなされた。
『新修豊田市史』関係箇所:2巻354・428ページ