写真で見るつるがしまの歩み
Tsurugashima seen in the photo
明治２２年（１８８９年）に、１４の村々が合併して誕生した鶴ヶ島。村から町、そして市へと発展してきた鶴ヶ島の移り変わりを貴重な写真で辿ります。
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鶴ヶ島が村であった期間は、明治(めいじ)２２年(1889)から昭和(しょうわ)４１年(1966)までの７７年間でした。この間には、鶴ヶ島駅、一本松駅(いっぽんまつえき)が開設されるなどの鉄道の整備が進み、各家庭に電化(でんか)製品(せいひん)が普及(ふきゅう)するなど、私たちの暮らしに大きな変化がおこりました。
また、耕作地(こうさくち)の拡大・食料増産を目指し、下新田、高倉第二、共栄、富士見、鶴ヶ丘と大規模な開墾(かいこん)が幾度(いくど)かおこなわれました。
ただ、この時代は大きな戦争を何回も経験(けいけん)し、人々にとって辛い時代でもありました。特に太平洋戦争の時には、坂戸(さかど)飛行場(ひこうじょう)の建設に伴い、大塚野(おおつかの)新田(しんでん)などの住民の方々は移住を強いられ、大塚野新田自体(じたい)が無くなってしまいました。
また、大塚野新田に隣接(りんせつ)する戸宮(とみや)は、村内(そんない)の他の地域との結びつきが飛行場により分断され、昭和１７年(1942)１２月に隣村の勝呂村(すぐろむら)(現坂戸市)に編入(へんにゅう)しました。
文化財に目を向けると、白鬚神社(しらひげじんじゃ)境内(けいだい)にある「脚折(すねおり)のケヤキ」が、昭和７年(1932)に埼玉県の指定天然記念物に指定されています。
またこの時期、専業農家(せんぎょうのうか)の減少など社会環境の変化により、江戸時代から行われてきた脚折雨乞(すねおりあまごい)が昭和３９年(1964)を最後に一旦(いったん)途絶(とだ)えるなど、民俗(みんぞく)行事(ぎょうじ)に対する環境も大きく変わり始めていきます。
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鶴ヶ島村は、昭和４１年(1966)４月に単独で町制(ちょうせい)を施行(せこう)しました。
町の時代の国勢調査(こくせいちょうさ)に於(お)いて人口の推移(すいい)をみると、昭和４０年(1965)には９,５８３人であったものが、平成２年(1990)には６３,０６４人に増えており、５年毎の人口の伸び率は、２７.７％から７０.７％にも達していました。この増加の要因(よういん)は、鶴ヶ島が首都圏(しゅとけん)からの通勤・通学圏であることが挙げられます。この時期には、昭和５５年(1980)の富士見土地区画整理事業を始め、各地区で土地区画整理事業が完了し、昭和５０年(1975)の関越自動車道鶴ヶ島ＩＣの開設や市内道路網(どうろもう)の整備などが積極的に行われました。
この急激な人口増加に伴い、小中学校もそれまでの鶴ヶ島第一小学校、鶴ヶ島第二小学校、鶴ヶ島中学校の３校に加えて、６小学校４中学校が相次(あいつ)いで開校されました。
町の文化財では、昭和４９年（1974）に高倉(たかくら)獅子舞(ししまい)が、町の指定文化財第１号に指定され、昭和５１年（1976）には昭和３９年（1964）から途絶(とだ)えていた脚折雨乞(すねおりあまごい)が、地元住民の手により復活し、無形文化財として指定されました。
その後も、三ツ木(みつぎ)慈眼寺(じげんじ)黒這松(くろはいまつ)、中新田(なかしんでん)神明社(しんめいしゃ)大桧(おおひのき)、高倉(たかくら)高福寺(こうふくじ)不動明王(ふどうみょうおう)画像(がぞう)、脚折(すねおり)白鬚神社(しらひげじんじゃ)十一面(じゅういちめん)観音(かんのん)菩薩(ぼさつ)立像(りつぞう)、上新田(かみしんでん)六角塔婆(ろっかくとうば)などが、指定文化財として指定されました。 -
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平成３年(1991)９月に市制(しせい)を施行(せこう)しました。
町の時代から続く計画的なまちづくりは、市になっても継続(けいぞく)され、土地区画整理事業等も着実(ちゃくじつ)に進めてられています。
交通網の整備も、富士見通線、共栄一本松線の開通や若葉駅西口の開設、市内(しない)循環(じゅんかん)バスの運航(うんこう)開始など移動の利便性(りべんせい)の向上(こうじょう)にも努めてきました。
文化・スポーツ面に目をうつすと、中央図書館や運動公園のオープンがあり、運動公園では平成１６年(2004)に彩(さい)の国まごころ国体の会場として利用され、桜まつり、産業まつりなど市民が集(つど)うイベントでも使われています。最近では、ふるさと応援大使(おうえんたいし)になっている市内出身バンド「鶴(つる)」の音楽フェス「鶴フェス２０１９」が開催され、全国から音楽ファンが集まりました。また、市のイメージキャラクターである「つるゴン」が、令和２年(２０２０)の「ゆるキャラ®グランプリ」において、第３位に入ったのは、記憶に新しいところです。
文化財では、脚折雨乞(すねおりあまごい)が平成１７年(2005)に国選択無形民俗文化財(くにせんたくむけいみんぞくぶんかざい)に選択され、平成２５年(2013)には、総務省(そうむしょう)主催(しゅさい)の第１７回ふるさとイベント大賞において大賞を受賞しました。
その他、昭和４７年（1972）に半壊(はんかい)状態(じょうたい)になってしまった県指定天然記念物「脚折のケヤキ」樹勢(じゅせい)回復(かいふく)業務(ぎょうむ)の継続的な支援、高倉獅子舞の獅子頭(ししがしら)の修繕(しゅうぜん)など、文化財の保存保護(ほぞんほご)にも努めています。 -
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高倉獅子舞は昭和４９年(1974)１１月１日に、市指定文化財(当時は町)の第１号に指定され、「高倉(たかくら)獅子舞(ししまい)保存会(ほぞんかい)」によって大切に継承(けいしょう)されている無形(むけい)文化財です。
毎年１１月２日、３日に高倉日枝(ひえ)神社(じんじゃ)を中心に、豊作(ほうさく)感謝(かんしゃ)、悪疫(あくえき)退散(たいさん)、地区内(ちくない)安全(あんぜん)祈願(きがん)ために行われる市内に残る唯一(ゆいいつ)の獅子舞です。江戸時代(えどじだい)より行われていると伝えられています。 高倉獅子舞は、万灯(まんとう)、貝(かい)吹(ふ)き、天狗(てんぐ)、花笠(はながさ)（ササラッコ）４人、ハイオイ、獅子(しし)３頭（前(まえ)獅子(じし)、中(なか)獅子(じし)、後(あと)獅子(じし)）、笛(ふえ)吹(ふ)き、歌うたい、道化(どうけ)の構成(こうせい)になっています。
１１月２日は、日枝神社を出発し、稲荷(いなり)神社、高福寺跡(こうふくじあと)において『女(め)獅子(じし)かくし』、『竿(さお)がかり』の二舞をおこない、１１月３日は、日枝神社において『女獅子かくし』二舞、『竿がかり』一舞を行います。
元々は１１月８日、９日、10日の3日間で行われていましたが、社会環境の変化に伴い、３日目に行われていた高倉地区の家々を回る「ムラ廻(まわ)り」が省略(しょうりゃく)され、現在の２日間となりました。
奉納される演目(えんもく)『女獅子かくし』は、３頭の獅子が花笠（ササラッコ）と戯(たわむ)れ遊んでいる間に、中獅子が花笠の間に隠されてしまい、前獅子と後獅子が探し回る様子が演じられ、『竿がかり』は、川に見立てた竹竿(たけざお)の向こう側に行ってしまった中獅子の所に行こうと、２頭の前獅子と後獅子が竿に向かって掛かっていく様子が演じられています。
また、長く継承されている獅子舞ということもあり、平成２０年（2008）に、獅子頭(ししがしら)３頭、天狗面(てんぐめん)１面、采配(さいはい)１本の漆(うるし)の塗り替えと軍配(ぐんばい)１本を新調(しんちょう)しました。この獅子頭の修繕(しゅうぜん)は、昭和３０年（1955）以来、５３年ぶりの修繕となりました。
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脚折雨乞は脚折地区に伝わる降雨(こうう)祈願(きがん)の伝統行事で、その起源(きげん)は江戸時代にまでさかのぼります。明治時代の記録によると「雷電池(かんだちがいけ)のほとりの社(やしろ)に雨ごいをすると必ず雨が降ったが、寛永(かんえい)(1624～1644)の頃、新田(しんでん)開発(かいはつ)のために池を小さくしたところ、住んでいた大蛇(だいじゃ)がいなくなり、雨が降らなくなってしまった。そこで群馬県の板倉(いたくら)雷電(らいでん)神社(じんじゃ)から池の水を持ち帰ると、見事に雨が降り始めた。」とされています。
その後も、干(かん)ばつの時に行われていた脚折雨乞ですが、社会環境の変化により、昭和３９年(1964)を最後に一度(いちど)途絶(とだ)えてしまいます。
しかし、昭和５０年(1975)に、雨乞の持つ地域の一体感(いったいかん)を再認識した住民は「脚折雨乞(すねおりあまごい)行事(ぎょうじ)保存会(ほぞんかい)」を結成(けっせい)し、翌年、脚折雨乞を復活させました。それ以降(いこう)、４年に１度行うようになり、昭和５１年(1976)に市指定無形(むけい)文化財(当時は町)に指定され、平成１７年(2005)には国(くに)選択(せんたく)無形(むけい)民(みん)俗文化(ぞくぶんか)財(ざい)に選択されました。
また、平成２５年(2013)には、総務省(そうむしょう)主催(しゅさい)の第１７回ふるさとイベント大賞において、脚折雨乞が地域の人々の絆(きずな)を育(はぐく)み、郷土(きょうど)意識(いしき)を高める行事として評価され、最高賞の「大賞」を受賞(じゅしょう)しました。
保存会では、定期的に技術(ぎじゅつ)伝承(でんしょう)講習会(こうしゅうかい)を行って技術の継承(けいしょう)に努め、子供たちが担(かつ)ぐ「ミニ龍蛇」を作成して後継者(こうけいしゃ)育成(いくせい)にも力を入れています。
平成３１年(2019)３月には、その拠点(きょてん)施設(しせつ)となる「龍蛇(りゅうだ)ふる里会館」が下向(しもむかい)児童(じどう)公(こう)園(えん)内に完成し、伝統行事の継承のために有効に活用されています。
現在の脚折雨乞では、竹と麦わらで作られた長さ36ｍ、重さ３トンにもなる「龍神(りゅうじん)」が、３００人の男たちに担がれ、白鬚(しらひげ)神社から雷電池(かんだちがいけ)までの約２㎞の道のりを練(ね)り歩きます。雷電池の中で雨乞を行った後、龍神は担(かつ)ぎ手達により解体され、天へと昇っていきます。
