解題・説明
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大小2つの池を石橋でつないだ、心月型といわれる池と築山を組み合わせた庭で、龍心庭と呼んでいます。南向きの丘陵には中心石を立て、その下に池に落ちるように枯滝を組んでいます。池の中には「夜泊石(よどまりいし)」と呼ばれる8個の立石を二列に並べ、立体感を添えています。特に、小石を敷いて浅瀬を作り、水位の上下により干潟が見え隠れするという、潮の干満を表現している「干潟様(ひがたよう)」は、平安時代から伝わる理想的な作庭技術で、現存するものでは岩手県の毛越寺と宗隣寺のみといわれ、庭園史上貴重な遺構です。 宗隣寺は、宇部領主の福原広俊が、寛文10年(1670年)、父の元俊を供養するために、当時荒れていた普済寺の地に建てた寺院で、この庭園も、昔の普済寺の池や庭を改築整備したものと考えられ、県内では最も古い南北朝時代の庭園です。普済寺は宝亀8年(777年)、唐僧為光和尚が開いたといわれ、南北朝時代は禅宗寺院であったことが確認されています。
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