資料説明
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ヒノキ材の寄木造の素地像で、像高は164.5cm。頭部と体の中央部は、正中線で左右に、左右はさらに前中後に割られ、合計6材がそれぞれ内刳され、つなぎ合わされている。また、両肩から両腕、両体側部、両足先等が別材でつなぎ合わされている。 頭髪は、正面を中心とする同心円状に髪筋を刻む形式で、肉髻珠・白毫相が表わされる。耳朶は紐のように伸び、衣は僧祇支・偏衫・衲衣を着け、裳をはく。両腕の肘を曲げ、左手に薬壺を持ち、右手は5指を軽く伸ばして立てている。 頭髪を清涼寺式釈迦如来像のように渦巻式に表している点は、やや変わった造形である。髪際の中央がやや下がることや低い肉髻、地髪が横に張った形などに、後期宋風彫刻の影響が見られる。また、衣文などに形式化が見られ、建長期(1249~1256)以後の鎌倉地方様式の造形感覚が表れており、13世紀後半から14世紀の制作と思われる。
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