資料説明
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涅槃図とは、釈迦が沙羅双樹の下で頭を北に顔を西に向け身体を横にして入滅する様子を描いたもの。この涅槃図は絹の布に線描で絵を描き、金糸、銀糸などの色糸を使って彩色刺繍で描かれている。 寸法は縦354.6cm、横268.6cmで、構図や描写が非常にすぐれている。壇上に右手で頭を支え、右脇腹を下にして横たわる釈迦を中心に、中央上部に月輪を、釈迦の周囲には入滅を悲しむ弟子や動物たちが描かれている。また、余白部分などには多くの寄進者の名前が刺繍されている。 また、この涅槃図には、制作の経緯を記録した由来書が伝わっており、それによると1669年(寛文9)の権大僧都長恵の代に紀州又右衛門と新兵衛が発願し、寄進者の福寿を願って、縫物師の京都次郎左衛門などによって作られたことがわかる。なお、由来書は3巻あり、釈迦涅槃図の附として有形文化財となっている。
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