解題・説明
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一、鰆〔サワラ〕流瀬網は、初夏より五十日間をもって漁業す。網使いは船一艘(八石積み三人乗り)にて最初見当標(みとうけ)を下ろし、潮の東西に流れるときは南北に、南北に流れるときは東西に、一直線に網を下ろし、しかして潮の速かなるときはおよそ一里半余り、また緩やかなるときは八九町ないし十七八丁ばかり流転し、たいがい三四時間にして引き揚ぐ。もっとも夜業をもって好しとす。網長さ三百二十尋、海尺九尋のものを使用す。
アバ 是レハ木ニテ製シ網ヲ浮ル為メ網ノ上部ニ付列ス
タル 之レハ網ノ両端ニ付シ之レヲ見当テトナスナリ
ウケ 是レハ(アバ)ヨリ三尋半許リ上ニ縄ニテ図ノ如付ル然スルトキハ(ウケ)海上ニ浮キ(アバ)ハ網ノ重リニテ(ウケ)ヨリ三尋半許沈ムモノナリ
ホラ 此レハ夜中船中ニテ睡眠スル者アランコトヲ恐レ之ヲ吹テ眠ヲナサシメサル具ナリ 又漁業上其他非常ノ時モ之レ吹クナリ
網 是レハ苧ヲ以テ製シ木皮ヲ以テ染タルモノナリ
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