解題・説明
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1928(昭和3)年静岡県上多賀を写生旅行し、制作した作品。同年5月25 日~27 日の椿貞雄個展(新潟新聞社)に《入江》という題名で出品。本作品は、船橋の医師・清川弘道(1882-1961)が初めて収蔵した椿の作品。妻・隆子が後年、「私が風邪をひいてねこんだことがありましたが、その時、土地の有名なお医者さま清川先生に応診をお願いしましたが、大へん絵がお好きな方で、壁にかけてあった主人の作品伊豆の風景(三十号)がお気に入って」(椿隆子「椿貞雄と船橋の思い出」『椿貞雄展』西武美術館、1987 年)と述べており、この時、弘道が椿の作品に感動し購入たことがわかる。以降、家族ぐるみの交流が長く続き、清川家は船橋における椿の有力や支援者となった。
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