石英斑岩は鈴木 長谷川(1963)と鈴木ら(1969)によると、冷水川支流の西股川上流地域に分布し、長谷川 鈴木(1964)によると、このほか松倉川中流右岸の楢(なら)の木岱付近や汐泊川支流の温川上流左岸の丸山付近にも分布する。しかし楢の木岱付近のものは鈴木ら(1969)によると、その連続が流紋岩と考えられ、丸山付近のものは鈴木 長谷川(1963)は石英粗面岩溶岩と考え、藤原 国府谷(1969)はその連続を石英安山岩と考えている。
西股川上流の石英斑岩は汐泊川層を貫き、更に粗粒玄武岩をも貫いて、かなり不規則な形を成して分布し、また北西側は断層で切られている。
石英斑岩の岩体には規則正しい柱状節理の発達しているものと、節理の不規則なものとがある。また迸入境界付近で20メートルもの幅で角礫岩化しているものもある。灰白色、灰緑色あるいは淡緑色を成し、1~5ミリメートルの大きさの石英や斜長石の大型斑晶が多数含まれ、そのほかに緑色角閃石や普通輝石が斑晶として含まれることもある。石基は主に粒状の斜長石と石英とから成り、アルカリ長石をわずかに伴い、一部には微文象構造も認められる。微文象構造というのは、石英と長石が特有な規則的連晶構造(数センチメートルの結晶が、ある方向性を持って連接共生している構造)を成しているものの中で、特に連晶が顕微鏡的大きさの時にこのように呼んでいる。
石英斑岩の大部分は鉱化作用の影響を受けて白っぽくなり、それによって石英、緑泥石、方解石、ぶどう石、黄鉄鉱などが生成され、時には著しく粘土化している。