ホンドイタチ

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 徳川時代の末ころから明治にかけて、ネズミを追って船中に忍び込み、本道へ渡って繁殖したものである。開拓の進行に伴い道内各地へ分布を広げ、東端の根室付近に達したのは昭和10年ころといわれている。当地域では明治中期から目立ち始め、明治から大正にかけては市街地の周辺、近郊の農村で鶏舎や兎(と)舎の被害が出る程増殖した。明治40年、函館の毛皮商松下熊槌はロンドン万国博覧会に渡島産としてこの毛皮200枚を出品したが、質の良好さと大形さで好評を博している。当時に比べると最近では、市街化の進行、捕食小動物の減少、猟具の進歩などにより、当地域の個体数も激減している模様である。