野鳥の楽園

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 植物の宝庫といわれる函館山が市街地に隣接して存在することは、当地域の自然的特質の一つであり、植物の宝庫は必然的に野鳥の宝庫でもある。函館山は海峡に突き出ているので、1面だけが市街地に接し、他の3面は海に囲まれて天然の障壁を形成しており、野鳥にとっては四季を通じて安住の楽園であり、また海峡を南下北上する渡りの休息地にもなっている。
 函館山および付近海域に生息または出現する野鳥について、函館鳥類研究所長森口和明の1971年版「函館山鳥類目録」によると、次の40科、149種が記録されている。
 
アビ科 アビ、オオハム、シロエリオオハム
ミズナギドリ科 フルマカモメ
ウ科 カワウ、ウミウ、ヒメウ
ガンカモ科 マガモ、カルガモ、コガモ、トモエガモ、ヨシガモ、ヒドリガモ、キンクロハジロ、スズガモ、クロガモ、ビロウドキンクロ、シノリガモ、ホオジロガモ、ウミアイサ、カワアイサ
ワシタカ科 ミサゴ、トビ、オオタカ、ハイタカ、ツミ、ノスリ、クマタカ、ハイイロチュウヒ、チュウヒ
ハヤブサ科 ハヤブサ、チゴハヤブサ、チョウゲンボウ
キジ科 ウズラ、コジュケイ、コウライキジ
クイナ科 クイナ、バン
チドリ科 コチドリ、キョウジョシギ
シギ科 ヤマシギ
ヒレアシシギ科 アカエリヒレアシシギ
カモメ科 ユリカモメ、セグロカモメ、オオセグロカモメ、カモメ、ウミネコ
ウミスズメ科 ウミガラス、ウミスズメ、カンムリウミスズメ、エトロフウミスズメ、ウトウ、エトピリカ
ハト科 キジバト
ホトトギス科 ジュウイチ、カッコウ、ツツドリ、ホトトギス
フクロウ科 トラフズク、コミミズク、コノハズク、アオバズク、フクロウ
ヨタカ科 ヨタカ
アマツバメ科 ハリオアマツバメ、アマツバメ
カワセミ科 アカショウビン
キツツキ科 アリスイ、ヤマゲラ、クマゲラ、アカゲラ、オオアカゲラ、コアカゲラ、エゾコゲラ
ヒバリ科 ヒバリ
ツバメ科 ツバメ、イワツバメ
セキレイ科 キセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ビンズイ
ヒヨドリ科 エゾヒヨドリ
モズ科 モズ、アカモズ
レンジャク科 キレンジャク、ヒレンジャク
カワガラス科 カワガラス
ミソサザイ科 ミソサザイ
ツグミ科 コマドリ、ノゴマ、コルリ、ルリビタキ、ジョウビタキ、ノビタキ、イソヒヨドリ、マミジロ、トラツグミ、クロツグミ、アカハラ、マミチャジナイ、ツグミ
ウグイス科 ヤブサメ、ウグイス、エゾセンニュウ、シマセンニュウ、マキノセンニュウ、コヨシキリ、オオヨシキリ、エゾムシクイ、センダイムシクイ、キクイタダキ
ヒタキ科 キビタキ、オオルリ、エゾヒタキ、コサメビタキ
シジュウカラ科 ハシブトカラ、コガラ、ヒガラ、ヤマガラ、シジュウカラ、シマエナガ
ゴジュウカラ科 シロハラゴジュウカラ
キバシリ科 キクキバシリ
メジロ科 メジロ
アトリ科 アトリ、コカワラヒワ、マヒワ、ベニヒワ、ハギマシコ、イスカ、ナキイスカ、ウソ、イカル、シメ
ハタオリドリ科 ニュウナイスズメ、スズメ
ムクドリ科 コムクドリ、ムクドリ
カラス科 ミヤマカケス、ハシボソガラス、ハシブトガラス
 
 以上のほかに、過去に出現の記録のあるもの、また現在も極くまれに姿を見せるもの(迷鳥を含む)などには次のものがある。
 
アホウドリ科 アホウドリ
カツオドリ科 カツオドリ
グンカンドリ科 グンカンドリ
サギ科 ヨシゴイ、ミゾゴイ、チュウサギ、アオサギ、クロサギ
ガンカモ科 ヒシクイ、オオハクチョウ、ハクチョウ
ハト科 アオバト
ヤツガシラ科 ヤツガシラ
キツツキ科 エゾミユビゲラ
ホオジロ科 ユキホオジロ
 
 当地域に四季を通じて生息する留鳥は、スズメ、ハシブトガラス、ハシボソガラス、コガラ、ヤマガラ、エゾコゲラ、フクロウ、トビなど26種ほどにのぼる。また、夏鳥として春から夏に渡来するものは、クイナ、コチドリ、カッコウ、ツツドリ、ホトトギス、ツバメ、ヒバリ、コマドリ、コルリ、ウグイス、オオルリなど64種ほどに達する。冬鳥として秋から冬に飛来するものは、ガンカモ科、カモメ科、ウミスズメ科の大部分、キレンジャク、ヒレンジャク、アトリ、ベニヒワなど46種ほどに及ぶ。
 特に函館山について注目すべきことは、コルリ、オオルリ、センダイムシクイ、イソヒヨドリ、メジロなど南方系野鳥の、道内には数少ない営巣地の一つとなっていることである。