箱館山の薬師信仰

410 / 706ページ
 『蝦夷島奇観』によれば、元和2(1616)年、河野政通の子孫で良道阿闍梨という出家が、箱館山に金銅の薬師仏をまつり、河野家の長久を祈ったとあるが、その跡はいまのところ不明である。また『蝦夷実地検考録』には、山に医王山明神があるとし、明暦元(1655)年草創、元文4(1739)年再建と記している。更に『寺院明細帳』では、もと尻沢辺に鎮座していたものを山に移したとあり、諸説いずれにあるか不明であるが、しかし古くから薬師仏の奉祀があり、そのため薬師山といわれるようになった。