生活

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童子雪中遊技図 「蝦夷島奇観」より

 漁業商業とも箱館は夏期は繁忙となるのに反し、冬期はまことに閑暇で、人々は多く家にあって炉を囲んで暮した。だから囲炉裏には美しい小砂利などを敷いて清潔にし、かたわらに台子といって高さ5尺(1.5メートル)ばかりの違いだなを置き、茶器などを体裁よく備えて静かに生活し、子供たちは雪中坂に上り雪滑りに興じ、「されよ!されよ!」と呼びながら、すこぶる活発であった。正月は雪が多いので羽子板遊びはなく、紙蔦(たこ)あげは5月ころになって行われ、7月には盆踊りが男女打ち混じってはなはだ盛んであった。お祭では八幡宮の祭礼がこのころから盛大に挙行されてにぎわったものである。