箱館・横浜・長崎の貿易比較

624 ~ 625 / 706ページ
 さて.箱館港での外国貿易は、他の開港場である長崎、横浜と比較し、どのような位置にあったのであろうか、横浜、長崎箱館3開港場における、輸出総貿易節を示せば表12の通りである。すなわち、これによると開港当初貿易総額の最も多いのが長崎港で、3港総貿易額の77.36%を占め、次いで横浜港が19.26%、箱館港がわずかに3.38%とあって、箱館が最も低くなっている。ところが翌万延元年には、横浜の伸びが著しく、46.99%に上昇して、長崎の貿易額に急速に近ずくだけでなく、翌文久元年以降は、長崎と横浜の位置が完全に逆転して、横浜港がトップに上昇してくる反面、長崎港は次第にその比重を低下させた。一方箱館港は、貿易額そのものは若干増加してはいるが、3港のなかでは一貫して最下位にあり、文久2年の5.27%を除き、各年とも2ないし5%の間を上下しているに過ぎず、箱館港の位置は、外国貿易港としては、それほど重要な港にはなっていなかったことを物語っている。
 
表12 幕末輸出総貿易額
 
港名
(安政6)
1859
(万延元)
1860
(文久元)
1861
(文久2)
1862
(文久3)
1863
(元治元)
1864
(慶応元)
1865
(慶応2)
1866
(慶応3)
1867
 
輸出額
 
横浜
長崎
箱館
総計
ドル
491,500
1,974,497
86,309
2,552,306
ドル
3,954,298
4,291,714
168,995
8,415,007
ドル
2,682,952
1,000,317
103,381
3,786,650
ドル
6,305,128
2,418,266
485,561
9,208,955
ドル
5,134,184
925,381
266,134
6,325,799
ドル
89,997,484
1,159,892
414,846
10,572,222
ドル
17,467,728
560,787
461,815
18,490,230
ドル
14,100,000
1,995,228
521,334
16,616,562
ドル
9,708,907
1,775,907
603,946
12,088,760
 
同百分率
 
横浜
長崎
箱館

19.26
77.36
3.38

46.99
51.00
2.01

70.85
26.42
2.73

67.87
26.26
5.27

81.16
14.63
4.21

85.10
10.97
3.93

94.47
3.03
2.50

84.86
12.01
3.13

80.31
14.69
4.99
同伸張率
横浜
長崎
箱館
全国
12
46
51
30
100
100
100
100
68
23
61
45
191
56
287
109
130
22
157
75
228
27
245
125
442
13
273
220
357
46
308
197
246
41
357
144
(前掲書による)